欧州カー・オブ・ザ・イヤー歴代受賞車 一挙紹介 前編 無名の迷車・珍車も数多し
公開 : 2022.03.19 06:05 更新 : 2022.03.19 07:05
欧州で最も高く評価されたクルマとは。欧州カー・オブ・ザ・イヤーを勝ち取った全59台を一挙に紹介します。
もくじ
ー約60年の歴史 全受賞車を振り返る
ー1964年:ローバー2000
ー1965年:オースチン1800
ー1966年:ルノー16
ー1967年:フィアット124
ー1968年:NSU Ro80
ー1969年:プジョー504
ー1970年:フィアット128
ー1971年:シトロエンGS
ー1972年:フィアット127
ー1973年:アウディ80
ー1974年:メルセデス・ベンツ450SE
ー1975年:シトロエンCX
ー1976年:シムカ1307-1308
ー1977年:ローバー3500
ー1978年:ポルシェ928
ー1979年:シムカ・クライスラー・ホライゾン
ー1980年:ランチア・デルタ
ー1981年:フォード・エスコート
ー1982年:ルノー9
ー1983年:アウディ100
ー1984年:フィアット・ウーノ
ー1985年:オペル・カデット/ヴォグゾール・アストラ
ー1986年:フォード・スコーピオ/グラナダ
ー1987年:オペル・オメガ
ー1988年:プジョー405
ー1989年:フィアット・ティーポ
ー1990年:シトロエンXM
ー1991年:ルノー・クリオ
ー1992年:フォルクスワーゲン・ゴルフ
約60年の歴史 全受賞車を振り返る
毎年開催される欧州カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)は、自動車業界最大級の世界的な賞と言っても過言ではない。
毎年、前年に発売されたすべてのクルマが審査され、最終的に7台の候補車に絞られる。弊誌AUTOCAR英国編集部のほか、Auto(イタリア)、Autopista(スペイン)、Autovisie(オランダ)、L’Automobile Magazine(フランス)、Stern(ドイツ)、Vi Bilagare(スウェーデン)など、欧州各国の自動車専門誌が主催している。
2022年の受賞車は、キアEV6に選ばれた。キアにとって初の受賞であるが、これまでに名を連ねる偉大なクルマの仲間入りをするのだろうか?それとも、一瞬の輝きを放った後、無名の存在となるのだろうか?
欧州COTYの過去の受賞車と、その成り行きを見てみよう。
1964年:ローバー2000
レイランドとなる以前のローバー最後の新型車。しなやかな乗り心地と魅力的なハンドリングを両立させたサスペンション、コンパクトで広々としたデザインが評価され、最初の欧州COTYを受賞した。
標準装備の2.0L 4気筒ガソリンエンジンは最高出力105ps程度で、パワー不足を指摘されていたが、1968年にはビュイック社製の3.5L V8を導入し、160psを発揮して0-97km/h加速を10秒5で達成する、当時としては驚異的な性能を持つセダンに仕上がっている。
14年間で32万台が生産された2000は、1976年にローバーSD1(詳しくは後述)に置き換えられた。
1965年:オースチン1800
1800は、広い室内、大きなトランクルーム、実用性、前輪駆動(FF)方式の組み合わせが審査員に評価された。その不格好なエクステリアデザインから「陸蟹」というニックネームがついたが、発売当初は英国のメディアから絶賛された。
年間20万台の販売を見込んでいた1800は、エンジン関連の信頼性問題や厳しい競争により、4万台を売るのがやっとだった。最終モデルであるMk3は1972年に登場し、1975年にはオースチン・プリンセスにバトンタッチした。
1966年:ルノー16
ルノー・フリゲートの後継モデルとして登場した16は、15年間で200万台近くが生産され、販売面でも大成功を収めた。快適で広々とした室内空間が評価され、ハッチバックデザインを中流階級に、ひいては大衆に広めた革新的なクルマである。
レース界の伝説的な人物スターリング・モスが「最もインテリジェントにデザインされた自動車」と評した16は、今もなお語り継がれている名車だ。
欧州で成功を収めた後(米国ではそうでもなかったが)、1975年に大型のルノー20/30が後継として登場する。残念なことに、16は当時大衆車として使用されていたため、現在ではごくわずかしか残っておらず、そのほとんどがフランスにある。