欧州カー・オブ・ザ・イヤー歴代受賞車 一挙紹介 前編 無名の迷車・珍車も数多し

公開 : 2022.03.19 06:05  更新 : 2022.03.19 07:05

1967年:フィアット124

コイルスプリングの改良による快適な乗り心地と、全輪ディスクブレーキによる安全性向上により、1967年に受賞したボクシーでコンパクトなフィアット流セダン。124をベースに、ワゴン、スポーツクーペ、スポーツスパイダーなどのバリエーションが登場した。

8年間続いた初代124の生産は1974年に生産を終了し、もっとボクシーなフィアット131に置き換わった。フィアットは2015年のロサンゼルス・オートショーで、マツダロードスターをベースとした新型124スパイダーを発表し、「124」という名称を復活させている。

1967年:フィアット124
1967年:フィアット124

1968年:NSU Ro80

二輪車の名門メーカーNSUは、1968年、Ro80でやや意外な勝利を収めた。空力に優れた流線型のセダンだが、そのエクステリアデザインだけでなく、革新的なロータリーエンジンも受賞理由となっている。

当時の一般的なセダンより高出力のヴァンケルエンジンは、スムーズにパワー供給が魅力的だったが、信頼性に欠け、こまめなメンテナンスが必要だった。

1968年:NSU Ro80
1968年:NSU Ro80

このエンジンをめぐる保証クレームで、NSUは徐々に衰弱していく。やがてライバルのフォルクスワーゲンと手を組み、アウトウニオンと合併せざるを得なくなった。これが、後にアウディと呼ばれるようになる会社である。

アウディは1998年に発売したスタイリッシュなスポーツカーに「TT」と名付けたが、これはNSUがスポーツクーペに使用していた名称を受け継いだものである。

1969年:プジョー504

504は乗り心地、視認性、造りの良さのすべてが審査員から高く評価された。ピニンファリーナが手がけたイタリアンなボディラインが人気を博し、美しく魅力的なカブリオレモデルも誕生した。

1983年にフランスでの生産を終了したが、2006年まで世界各地で生産されている。欧州で300万台、ナイジェリアやオーストラリアなどで50万台以上生産され、厳しい環境下での耐久性が高く評価された。後継車はプジョー505である。

1969年:プジョー504
1969年:プジョー504

現存する個体は数少ないが、数年前、AUTOCARは英国で走行距離100万kmを超える個体を探し当てた。

1970年:フィアット128

128も前述の124と同様、コンパクトで実用的なフィアットのファミリーセダンである。エンジンとトランスミッションを横置きにした画期的な前輪駆動方式で、その後のFF車の基準を築いた。

20年近く生産された128は、人気の高いクーペをはじめ、さまざまな車種のベースとなっている。1985年に生産が終了すると、リトモに受け継がれた。

1970年:フィアット128
1970年:フィアット128

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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