欧州カー・オブ・ザ・イヤー歴代受賞車 一挙紹介 前編 無名の迷車・珍車も数多し
公開 : 2022.03.19 06:05 更新 : 2022.03.19 07:05
1971年:シトロエンGS
この年、シトロエンは初めて欧州COTYを受賞した。今日、シトロエンはセルフレベリング・サスペンションシステムにより、歴史上最も乗り心地の良いクルマを製造したフランスのメーカーとして有名である。
GSはこのハイドロニューマチックシステムを採用。どんな荷重がかかっても自動的に水平になり、常に一定の車高を保つことができる。その結果、比類ない快適性と路面追従性能を実現し、COTYの審査員もそれを高く評価したようだ。
1979年のモデルチェンジでGSAと改名されたが、基本的には同じクルマである。GS/GSAの総販売台数は約250万台で、チリやジンバブエなどさまざまな場所で生産された。16年にわたる生産の後、箱型のZXが跡を継いだ。
1972年:フィアット127
6年ぶり3度目の首位獲得を果たしたフィアット。今回は、前回受賞した128とほぼ同じプラットフォームを採用した127が選ばれた。アーティキュレーテッド・ステアリングコラムやクラッシャブルゾーンなど、安全面での革新性がCOTY審査員から高く評価された。
127は販売面で成功を収め、12年の生涯を通じて3回のフェイスリフトが行われた。1983年にウーノに選手交代している。
1973年:アウディ80
NSUとアウトウニオンの合併で生まれたアウディは、設立からわずか4年で80(B1)が欧州COTYを受賞するなど、早くから市場における優位性を確保した。
80は2ドアと4ドアのセダンがあり、フォードやオペルといった大企業への対抗馬となったのである。実用性、豊富なエンジンラインナップ、軽量設計が評価され、ルノー5を抑えて1位を獲得した。
アウディ80は若いユーザーにウケが良く、BMWとの覇権争いにも有利に働いた。3世代にわたり生産が続けられ、A4と改称されてからも主力ラインナップの一翼を担い続けている。
1974年:メルセデス・ベンツ450SE
450SEは、速さ、豪華さ、そして何より安全性が審査員に評価された。実際、乗用車において「初」の安全機能を数多く導入している。たとえば、衝突時にドライバーの頭部を保護するためのパッド付きステアリングホイール(エアバッグが普及する前)や、汚れを防いで照度を保つためのリアライトのリブなどが有名だ。
W116は1974年当時、最高のクルマであっただけでなく、おそらく最も安全なクルマであり、それが広く認められたというわけだ。
4年後の1978年には、世界初のターボディーゼルエンジンを搭載した300SDが登場した(米国のみ)。W116は47万3035台を販売し、8年間の生産を終えた後は1980年にW126型へとモデルチェンジを果たす。現在もSクラスは高級車の定番として、アウディ、BMW、ジャガー、レクサスなどのライバルを抑えて世界的に販売されている。