欧州カー・オブ・ザ・イヤー歴代受賞車 一挙紹介 前編 無名の迷車・珍車も数多し
公開 : 2022.03.19 06:05 更新 : 2022.03.19 07:05
1979年:シムカ・クライスラー・ホライゾン
シムカ、クライスラー、タルボから販売されたホライゾンは、ライバルであるフィアット・リトモを抑え、1979年の欧州COTYを獲得した。現代的な前輪駆動方式は、先代のヒルマン・アベンジャーやシムカ1100を凌ぐものであり、審査員たちを魅了したのである。
クライスラー・ヨーロッパにとって、3年ぶり2度目の受賞となったが、この年の経営破綻を回避するため米国政府に支援を求めたため、あまり良い結果とはならなかった。救済措置の一環として、欧州部門をフランスのPSAに売却しなければならなくなったのだ。
ホライゾンは1979年8月1日からタルボとして販売され、当初は好調な売れ行きを見せたが、フォード・エスコートMk3やオペル・アストラなど、高性能なライバルが登場して影が薄くなってしまう。PSAのラインナップでは、実質的にプジョー309が後継となった。
1980年:ランチア・デルタ
1979年、ジョルジェット・ジウジアーロによってデザインされたエレガントでコンパクトな5ドアハッチバック。このサイズのクルマとしては驚くべきハンドリングと快適性を備えていた。
これは完全独立リアサスペンションのおかげであるが、ラック・アンド・ピニオン式ステアリング、分割可倒式リアシート、デフォッガー、エアコン(オプション)など、当時のこのクラスでは珍しい上級装備も目玉だった。
デルタはラリーで大成功を収め、WRCで46勝、コンストラクターズ選手権では当時の最高記録となる6連覇を達成。1991年のフランクフルト・モーターショーでは、ホモロゲーションスペシャルモデル、インテグラーレ・エボルツィオーネ(通称エボ)が発表され、現在では最も人気のあるホットハッチの1つとなっている。
1981年:フォード・エスコート
コードネーム「エリカ」と呼ばれたフォードの人気ハッチバックの3代目は、横置きエンジンレイアウトと前輪駆動の全く新しい設計で、クラス最高の空気抵抗係数0.37を誇った。
旧型の古めかしい板バネ式サスペンションを全輪独立懸架に変更し、信頼性とメンテナンス性に優れたCVHエンジンを搭載。審査員に好印象を与え、フィアット・パンダを抑えて欧州COTYを獲得した。
1982年には、大型のコルチナを抜いて、英国販売チャートのトップに躍り出ている。デルタ同様、エスコートも長く実りあるラリー活動を行い、ゴルフGTIに対抗するためにXR3やXR3i(FI仕様)といった高性能モデルも登場した。
1989年には、エスコートMk3は英国内だけで150万台近くを売り上げた。1998年にフォーカスにバトンタッチしたが、現在も英国の道路にはさまざまな世代のエスコートが走っている。