欧州カー・オブ・ザ・イヤー歴代受賞車 一挙紹介 前編 無名の迷車・珍車も数多し

公開 : 2022.03.19 06:05  更新 : 2022.03.19 07:05

1986年:フォード・スコーピオ/グラナダ

主流メーカーの上級モデルがよく売れた時代、スコーピオ(英国とアイルランドではグラナダMk3)はシエラのデザインセンスを活かし、より大きくエレガントなボディ形状に進化した。ハッチバックも用意され、このクラスでは真新しい選択肢として高い実用性が謳われた。

スムーズでガッツのあるV6エンジンは、スコーピオの魅力を際立たせるものだが、欧州COTYの審査の決め手となったのは、全車種にABSブレーキが標準装備されたことだった。

1986年:フォード・スコーピオ/グラナダ
1986年:フォード・スコーピオ/グラナダ

初代スコーピオは、販売に支障をきたすことを恐れて、グラナダの名前を使い続けた。しかし、1994年に登場した2代目では欧州全域でスコーピオの名称が統一され、優れたコストパフォーマンスと乗り心地を有していたが、賛否分かれるデザインが注目を集めた。

「バグアイ」と呼ばれるような虫の目を彷彿とさせるルックスと、沈み込んだリア・テールライトはあからさまな批判を浴び、発売からわずか4年後に販売中止となったのだ。それ以来、フォードは欧州で大型セダンを販売していない(現在では米国でも販売されていない)。

1987年:オペル・オメガ

英国ではヴォグゾール・カールトンとして知られているオペル・オメガ。車載トリップコンピューターやエアコン付きグローブボックスなど、数々の斬新な機能を搭載し、好評を得た。 審査員からは、先進の空力性能とマルチリンク式リアサスペンションによる優れた乗り心地が評価されている。

オメガは、当時最も高性能なスポーツセダンの1つである1990年のロータス・カールトン/オメガのベースとなった。サスペンションはロータスが高速安定性と動力性能の向上のために改良したもので、オペル・セネターズのパワーステアリングシステム「サーボトロニック」を採用した(現代のクルマと同様に、速度に応じてアシスト量を可変)。

1987年:オペル・オメガ
1987年:オペル・オメガ

標準のオメガは、1994年に生産を終了している。

1988年:プジョー405

1988年の欧州COTYで、405は2位のシトロエンAXに212点もの大差をつけた。205の軽快なハンドリングをそのまま大型車に移植したような設計が評価され、ドライビングプレジャーのトップクラスへと躍り出たのだ。

ピニンファリーナが手がけた405は、その動力性能だけでなく、経済性とパフォーマンスの優れた画期的な新型XUD 1.9ディーゼルエンジンも評価されている。

1988年:プジョー405
1988年:プジョー405

欧州では10年間販売され、1997年に406にバトンタッチした。しかし、イランではイラン・ホドロ社によって、安全装置を多く搭載した最新モデルとして今も生産されている。

405は全世界で約250万台が販売された。英国でも大ヒットしたが、爆発するトウモロコシ畑とハイウッド映画『トップガン』の音楽を使ったテレビコマーシャルが注目を集め、笑い話のネタになったという。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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