欧州カー・オブ・ザ・イヤー歴代受賞車 一挙紹介 前編 無名の迷車・珍車も数多し

公開 : 2022.03.19 06:05  更新 : 2022.03.19 07:05

1989年:フィアット・ティーポ

錆びを防ぐため、ティーポはボディ全体が亜鉛メッキされたパネルで作られている。新しいプラットフォームと箱型デザインにより革新的なパッケージングを可能にし、当時のフォード・エスコートと似たようなサイズでありながら、後席レッグルームは1クラス上のシエラを凌ぐものであった。

また、ハンドリングの良さや購入価格の安さも、オペル・ベクトラ/ヴォグゾール・キャバリエ(2位)、フォルクスワーゲンパサート(3位)を抑えて、トップに立つ大きな要因となった。

1989年:フィアット・ティーポ
1989年:フィアット・ティーポ

ブラジルでは絶大人気を誇るフォルクスワーゲン・ゴル(ゴルフではない)を上回る唯一のモデルとなり、欧州では1995年まで販売された。後継のスティーロとブラーボはそれほど人気がなかったが、2015年にティーポの名が再登場している。

1990年:シトロエンXM

亜鉛メッキのボディパネル、ベルトーネのエレガントなライン、そして電子制御サスペンションによりコーナリングでのロールを抑えつつ快適な乗り心地を実現したXMは、「大きなシトロエン」を現代的に解釈したモデルとして、審査員に感銘を与えた。

また、リフトバックデザインは実用的で、CXの風変わりなインテリアデザインの要素も残っており、ドイツのライバルとは大きく異なる運転体験を提供してくれる。

1990年:シトロエンXM
1990年:シトロエンXM

XMは欧州市場で年間16万台の販売を見込んでいたが、電子部品の不具合により信頼性が損なわれ、イメージ悪化につながった。販売は10年間続いたが、世界的な不況の影響もあり、合計生産台数は33万3775台となっている。

1991年:ルノー・クリオ

欧州COTYの審査員は、ルノー5におしゃれな衣装を着せただけにもかかわらず、クリオ(日本名:ルーテシア)がすべての要素をカバーしていると絶賛した。運転が楽しく、適度に実用的で、当時の小型車としては十分な装備を備えながら手頃な価格を実現していたのだ。

初代クリオでは、最高出力147psの限定車クリオ・ウィリアムズも登場し、カルト的なファンを獲得した。1998年に曲線的な2代目に引き継がれた。

1991年:ルノー・クリオ
1991年:ルノー・クリオ

1992年:フォルクスワーゲン・ゴルフ

3代目となったゴルフの成熟ぶりは、審査員を感心させた。また、カブリオレやワゴンなど、多彩なボディスタイルと高い品質により、フォルクスワーゲンとして初めてCOTYを受賞した。

経済性に優れた新型1.9 TDIディーゼルもデビューさせている。しかし、派生モデルのGTIは、2.8L VR6を搭載していたものの、印象は薄かった。このモデルには、今日のストップ/スタートシステムの先駆けである「エコマティック」ディーゼルも導入されていた。

1992年:フォルクスワーゲン・ゴルフ
1992年:フォルクスワーゲン・ゴルフ

1996年には全モデルにABSが標準装備されたが、ハンドリングは売れ筋のライバルであるプジョー306に劣るとされることがしばしば。3代目ゴルフは、1998年に品質が向上した4代目が登場するまで、リコールが相次いだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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