欧州カー・オブ・ザ・イヤー歴代受賞車 一挙紹介 後編 無名の迷車・珍車も数多し

公開 : 2022.03.19 06:06  更新 : 2022.03.19 07:06

2000年:トヨタヤリス

開発中のヤリスは「ファン・プロジェクト」と呼ばれ、ブリュッセルで欧州市場を明確に意識したスタイリングが施された。日本ではヴィッツとして知られ、経済的な1.0LエンジンとユーロNCAPの安全性評価で4つ星を獲得し、評論家からも人気を博した。

革新的ではあるが、奇抜な外観のフィアット・ムルティプラにわずか19点の差をつけたのは、その考え抜かれたインテリアのおかげである。ダッシュボードの豊富な収納スペース(中央に配置されたダイヤルも独特)とスライド式リアシートにより、ほとんどのコンパクトカーに代わる実用的なモデルとなたのだ。

2000年:トヨタ・ヤリス
2000年:トヨタ・ヤリス

ヤリスの信頼性はユーザーにも高く評価され、1999年から2005年までの間に欧州で140万台近くが販売された。

2001年:アルファ・ロメオ147

3代目フォード・モンデオにわずか1点差で勝利した147。ヴォルフガング・エッガーが手がけたそのスタイリングが称賛され、アルファにとって4年ぶり2度目の勝利となった。JTDディーゼルエンジンとツインスパーク・ガソリンエンジン、上質なインテリア、そしてハンドリングも評価されている。

147は10年間生産され続けた。2004年末にはフェイスリフトが行われ、よりアグレッシブなスタイリングの採用とサスペンション調整が行われた。しかし、信頼性の問題に悩まされたのはイタリアンブランドらしいところ。2010年、ジュリエッタにバトンタッチしている。

2001年:アルファ・ロメオ147
2001年:アルファ・ロメオ147

2002年:プジョー307

2001年に登場した307は、80年代後半から90年代にかけてプジョーを飾っていたピニンファリーナベースのデザインから脱却し、306よりもはるかに背が高く、広々としたクルマとなった。

審査員からは、効率的な新型2.0HDiディーゼル、印象的なインテリア機能、ESPスタビリティコントロールなどの先進的な安全装備が高く評価された。また、価格も手頃で、全モデルで装備が充実している。

2002年:プジョー307
2002年:プジョー307

307は合計380万台が生産され、2007年に欧州で308が登場した後も、中国や南米市場向けに生産が続けられた。また、7人乗りのMPVや流行のメタルルーフを備えた2ドアのクーペ・カブリオレなど、さまざまなバリエーションが生み出された。

2003年:ルノーメガーヌ

2003年の欧州COTYでマツダ6の猛追を受けた2代目メガーヌは、パトリック・ルケマンの大胆な新デザイン哲学からインスパイアされたクルマである。カードキー、スタート/ストップボタン、パノラミック・サンルーフなど、ルノーの革新的な技術をアピールするモデルであった。

また、メガーヌは小型ファミリーカーとして初めてユーロNCAPの安全性評価で5つ星を獲得している。2代目メガーヌは、最初の1年間にフランスで19万8874台を販売し、国内販売チャートのトップに立った。

2003年:ルノー・メガーヌ
2003年:ルノー・メガーヌ

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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