欧州カー・オブ・ザ・イヤー歴代受賞車 一挙紹介 後編 無名の迷車・珍車も数多し

公開 : 2022.03.19 06:06  更新 : 2022.03.19 07:06

2008年:フィアット500

クラシックに現代的なアレンジを加えることは、常にリスクを孕んでいる。しかし、1957年に登場した500のエッセンスを取り入れながら、現代のコンパクトカーとしての性能と経済性を実現したことで、フィアットの賭けは見事に成功した。

フィアット500はイタリア生まれではあるが、ポーランドで生産されている。2012年に生産台数100万台を達成し、そのわずか5年後には200万台に到達した。その驚異的な販売台数とともに、40以上の賞を獲得している点も見逃せない。

2008年:フィアット500
2008年:フィアット500

コンバーチブル、EV、アバルトの各モデルが登場し、2016年にフェイスリフトを受けた。また、この年には高級ボートメーカーのリーヴァ(Riva)との思いもよらないコラボレーションが発表され、「フィアット500リーヴァ」というクリエイティブな名前が付けられた。リーヴァの高級ボートのような最高級マホガニーとメープルを使用した限定モデルである。

2009年:オペル/ヴォグゾール・インシグニア

改良直後の7代目フォードフィエスタをわずか1点差で抑え、オペル/ヴォグゾールが22年ぶりに受賞することになった。インシグニアでは、両ブランドの新しいエンブレムがデビューしたほか、1994年以降のヴォグゾールの特徴的な「V」型フロントマスクが廃止され、真新しいグリルが採用された。

英国では翌年、ヴォグゾールのモデルとして販売面でフォード・モンデオを上回り、BMW 3シリーズにわずかに及ばなかったものの、9番目に売れたクルマとなった。2017年には2代目が発売された。

2009年:オペル/ヴォグゾール・インシグニア
2009年:オペル/ヴォグゾール・インシグニア

また、インシグニアはGM帝国のもと、世界各地でさまざまなバッジがつけられている。北米ではビュイック・リーガルとシボレー・ベクトラ、豪州ではホールデン・インシグニアとコモドール、そしてワゴン仕様には全く別の名称が与えられている。

2010年:フォルクスワーゲン・ポロ

5代目となるポロは、1992年の3代目ゴルフに続き、フォルクスワーゲン史上2台目の受賞となった。欧州COTYの審査員からは、「インテリアデザインやドライビングフィールがゴルフに似ている」と評価された。

デュアルクラッチ・トランスミッション(DSG)と、クラスをリードするインテリアが優位性を与え、すべての審査員から点数を獲得したのである。

2010年:フォルクスワーゲン・ポロ
2010年:フォルクスワーゲン・ポロ

2014年のフェイスリフトでモダンになったポロは、2017年後半まで販売された。現行の第6世代では、バーチャルコックピットなどフォルクスワーゲン・グループの最新機能をすべて取り入れ、まったく新しい大柄でシャープなデザインに生まれ変わった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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