軽キャンパー大変化! キャンピングカー「構造要件」21年ぶり大改訂 8ナンバー取得しやすく 新旧の違い/背景は
公開 : 2022.03.16 19:15 更新 : 2022.03.25 18:48
とくに軽自動車キャンパーにとって恩恵の大きい、「キャンピングカーの構造要件」の変更が実施されました。
もくじ
ーキャンピングカー登録 「構造要件」とは?
ー4月1日からの変更点を新旧で比較してみる
ー室内高の規定も柔軟に 40cmの変化は大きい
ーキャンピングカー製造業者「自由度が広がる」
ーなぜ今、構造要件が改訂されることになった?
ー「堂々と8ナンバー登録して乗りたい、使いたい」
キャンピングカー登録 「構造要件」とは?
「キャンピングカー」と呼ばれるクルマには特種用途車両として
・8ナンバー登録される車両
・ナンバーはそのままで車中泊ができる最低限の装備(シートの上に置くベッドボードなど)などを備えた車両
の2種類がある。
前者の8ナンバー登録されるキャンピングカーについて「構造要件」が大幅に変更された。
国交省から2022年3月1日に「自動車の用途等の区分について」(国自整第278号)という通達が出されており、この4月1日より歴史的快挙! とも言われるキャンピングカーの構造要件が大幅に改訂される。
構造要件とはキャンピングカー登録をするために必要な装備や仕様のこと。就寝定員やベッドのスペース、炊事設備などについて細かく規定されている。
今回の改訂では、主に、就寝定員の数え方と室内高に関して大幅な緩和が実施されているが、これまで(3月31日)とこれから(4月1日~)ではどのような内容が変更されるのだろうか。
キャンピングカーの構造要件については、過去、何度か改訂がおこなわれてきており、現在の構造要件は2001年10月に改正され、2003年4月から適用となっている。
この時の構造要件の改正は「8ナンバー」の不正取得を防止することが主目的であった。
1980年代半ばから90年代にかけて、今で言うところのSUVやステーションワゴン、大排気量のアメリカ車に対しキャンピングカー(や放送宣伝車)の装備をつけて8ナンバーを取得。
ふだん乗るときはそれらの装備を外して車検時に再度装備をつけて車検を通す……このような不正行為がおこなわれていた時代があったのだ。
当時は、8ナンバー車の税金や保険が大幅に安かったため維持費を安くする目的で8ナンバーを取得する業者やユーザーがとても多かった。
構造要件が今よりずっと緩かったのでトヨタ・ランドクルーザー80のような車種でもキャンピングカー登録が簡単にできていたのである。
4月1日からの変更点を新旧で比較してみる
8ナンバーを不正取得するケースが後を絶たないことからその後、キャンピングカーの構造要件は厳格化されることになった。
例えば、検査後にキャンピング設備を簡単に取り外せないよう溶接やボルト、リベットなどで固定することとし、キャンプに必要な設備に関する諸々の条件も厳しくなった。
2001年10月に発表され、2003年4月1日から適用となったのが現在の構造要件である。
それでは、21年ぶりの改訂となる新構造要件はどのような内容になっているのだろうか? 新構造要件では主に就寝定員と室内高に関して大きな変更がある。
就寝定員について
旧
乗車定員の3分の1以上(端数は切り上げ)を就寝定員とすること。乗車定員3名以下の場合は「2名」の大人用就寝設備を有すること。
新
乗車定員の3分の1以上(端数は切り捨て)を就寝定員とすること。乗車定員3名以下の場合は「1名」の大人用就寝設備を有すること。
つまり……?
就寝定員が乗車定員の3分の1以上であることは変わりないが小数点以下は「切り上げ」となる。
つまり乗車定員7名のクルマなら7÷3=2.3333…で、旧要件なら3名となるところが2名。乗車定員5名なら5÷3=1.666…で1名でOKとなる。
軽自動車をベースにしたキャンピングカーの場合は、乗車定員が4名の場合4÷3=1.3333でこちらも就寝定員は1名分で良いことになる。
新要件では乗車定員3名以下の場合の就寝定員は1名で良いとされているので、定員2名の軽貨物車をベースにしたキャンピングカーにおいても1名分の就寝スペースを確保すれば構造要件を満たすことになる。
ちなみに就寝設備はキャンピングカーに必須の装備であるが、就寝定員1名分(大人)の就寝スペースは180×50cm、子どもの場合は150cm×40cmでこれが2つあれば大人就寝定員の1名分と数えることができる。
なお、就寝設備として認められるベッドは平面かつ専用装備であることが条件なので、座席をフルフラットにしてそのままベッドとして使う場合や、座席の上に簡易なマットなどを置いて使う場合などは就寝設備としては認められない。