DOHCの小粋なオープン フィアット1500S カブリオレ x アルファ・ロメオ・ジュリア・スパイダー 後編

公開 : 2022.04.03 07:06

小さく活発なツインカムエンジンに可憐なスタイリング。1960年代のイタリアン・スパイダーを英国編集部がご紹介します。

高見えするフィアットのインテリア

今回ご紹介するブルー・グレーのフィアット・オスカ1500S カブリオレは、1961年10月にフランス・パリで販売された1台だ。シャシー番号は118S016042。その後、アメリカ・カリフォルニアへ移っている。

1970年代初頭にナンバーが切れて以降は乗られていなかったが、コンクール・コンディションへ仕上げるべく、2000年代半ばに丁寧なレストアが施された。その後、2015年に開催されたペブルビーチでのイベントで販売されている。

レッドのアルファ・ロメオ・ジュリア・スパイダー・ヴェローチェと、ブルー・グレーのフィアット・オスカ1500S カブリオレ
レッドのアルファ・ロメオジュリアスパイダー・ヴェローチェと、ブルー・グレーのフィアット・オスカ1500S カブリオレ

レッドのアルファ・ロメオ・ジュリア・スパイダー・ヴェローチェのように、1500S カブリオレも小柄。それでも、現代の交通で不安になるほどの大きさではない。

クロームメッキの使用量がやや多く、トランクもひと回り大きい。大きな買い物用のバスケットや段ボール箱も、問題なく載せられるだろう。

フェイクウッドのダッシュボードに並ぶメーターは大きく、ランチア・アウレリア・コンバーチブルにも似ている。助手席側のフットブレース・バーは、2300Sにも採用された、フィアット自慢の装備だった。

直立気味に取り付けられた美しいステアリングホイールは、ナルディ社製。車格の割に大径だが、低速域でもテコの原理で回しやすい。インテリアが高見えするように、フィアットが努力した様子をあちこちから感じ取れる。

ジュリアのインテリアは質実的で実用的

ジュリア・スパイダーのインテリアは、質実的で実用的。フロアにはゴム製のマットが敷かれ、ダッシュボードにはボディと同色のパネルが収まる。ライトやチョーク、ワイパーなど、必要なスイッチが整然と並んでいる。

ドアは、サイドシルが大きく小柄。足元の空間もやや狭い。着座位置は高く、平均的な身長の大人でも、フロントガラス上辺のフレームから頭が飛び出してしまう。レストアでシートが肉厚になったわけではない。

レッドのアルファ・ロメオ・ジュリア・スパイダー・ヴェローチェと、ブルー・グレーのフィアット・オスカ1500S カブリオレ
レッドのアルファ・ロメオ・ジュリア・スパイダー・ヴェローチェと、ブルー・グレーのフィアット・オスカ1500S カブリオレ

ペダルは、2台ともにクラッチとブレーキがフロアヒンジ。ドライビングポジションも、足を曲げて腕を伸ばす、昔ながらのイタリアン・スタイルだ。

アルファ・ロメオのボンネットはリアヒンジ。背の高いエンジンは、やや右へ傾けて搭載されている。フロントヒンジのフィアットは、美しく成形されたマニフォールドが、こんがり焼けている。どちらも、綺麗に収まっている。

ウオッシャー液の入ったビニールバッグが、この頃のイタリア車的。エアクリーナー・ボックスは、見た目がつまらない。

オーナーによると、1500S カブリオレの隔壁に取り付けられた、ブッシュ付きのステアリングボックス用リンケージ・アームが弱点だという。ちなみに英国では、ディーラーの一部が右ハンドル車へのコンバージョンを引き受けていた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーティン・バックリー

    Martin Buckley

    英国編集部ライター
  • 撮影

    リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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