「値上げしないと赤字」 原材料の高騰が自動車業界に与える影響 販売価格の改定相次ぐ

公開 : 2022.03.17 06:05  更新 : 2022.03.19 14:15

高騰は一時的? 短期的にはさらに上昇か

コストがかかっているのは原材料だけではない。エネルギー価格の高騰が工場の経費を圧迫しているほか、EV開発におけるエンジニア不足もインフレの原因となっている。

欧州では自動車価格の上昇は追跡調査されておらず、値引き幅の縮小もあり、数値で示すのは難しい(伝統的に値引きをしないメーカー、例えばダチアテスラなどではわかりやすい)。しかし、価格追跡が容易な米国では、ジェフリーズによると2021年に1万2000~1万3000ドル(約140~150万円)ほど価格が上昇している。リビアンのスカリンジCEOは顧客への謝罪文の中で、2018年から30%価格が上がったと述べている。

パンデミックと半導体不足で自動車製造が足踏みしていたところに、ロシア/ウクライナ情勢が重なった。業界史上まれに見る厳しい状況と言えるだろう。
パンデミックと半導体不足で自動車製造が足踏みしていたところに、ロシア/ウクライナ情勢が重なった。業界史上まれに見る厳しい状況と言えるだろう。

アナリストらは、やがてロシアに代わる原材料の供給源が見つかり、最初のインフレ要因であるパンデミック後の反発の動きから市場が落ち着くため、現在の高騰は一時的なものだと予想している。ロシアのウクライナ侵攻が今後どのような局面を見せるかは分からないが、短期的にはさらに上昇するものと思われる。

これに半導体などの部品不足が重なり、自動車メーカーにとっては現在、非常に厳しい状況が続いている。スカリンジCEOは3月11日に行われたアナリストとの決算説明会で、次のように述べている。

「自動車業界がこれまで経験したことのないような厳しいサプライチェーン環境を経験していることは間違いない」

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ愛知在住。幼少期から乗り物好き。住宅営業や記事編集者といった職を経て、フリーランスとして自動車メディアで記事を書くことに。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。

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