ボルボが作るEV「ボルボらしい」? ボルボC40リチャージに試乗 そもそもボルボらしさとは

公開 : 2022.03.18 19:05

ボルボC40リチャージ(2022年モデル)の試乗記を通して「ボルボらしさ」とは何かを改めて考えます。

「走りはボルボっぽくないなあ」

クルマ自体はボルボっぽい。でも走りはボルボっぽくないなあ。

それはボルボの最新モデル「C40リチャージ(Recharge)」に触れた印象だ。

ボルボC40リチャージ
ボルボC40リチャージ

どこがどうボルボっぽくて、どこがボルボっぽくないのか?……そのまえに、まずはC40リチャージについておさらいしておこう。

C40リチャージは、今のボルボではもっともコンパクトなクラス(Cセグメント)に属するクロスオーバーSUVだ。

「CMA」と呼ぶプラットフォームをはじめとする内外装の基本設計は2018年から展開している「XC40」との共通部分も多いが、スタイルはリアゲートを大きく傾斜させたクーペ風へ。

SUVながら車名が同社でSUVを表す「XC」ではなく、クーペに使われる「C」で始まるのはそのためである。

最大の特徴はパワートレイン。同車はボルボとしては初めてのピュアEV(電気自動車)であると同時に、EV専用モデルとして開発されたのだ。

同社は2030年に販売する車両の100%をEVとする目標を掲げ、全力でそこへ向かっている。

すでに生産する車両はすべてモーターが組み込まれた「電動車」としており、販売におけるプラグインハイブリッドモデルの比率も2021年の日本で12%に達しているというブランドだ。

すでに新規エンジンの開発を停止し、エンジン開発部門すら会社内には存在しないのだから驚くばかりである。

初のピュアEVであるC40リチャージは、ボルボの新時代の幕開けを伝える最初の1台というわけである。

そもそもボルボらしさとは何か?

クルマとしてのボルボC40リチャージは、いかにもボルボらしいものだ。

パワートレインは「全車を電動化した初のプレミアムブランド」を象徴するかのごとくエンジンを排したピュアモーターだし、デザインも洗練されている。

C40リチャージは、シートはもちろん、ステアリングホイールやシフトセレクターなども本革ではなく合成素材を組み合わせている。
C40リチャージは、シートはもちろん、ステアリングホイールやシフトセレクターなども本革ではなく合成素材を組み合わせている。

クルマの内装に使われる高級素材の代表格といえばレザーだが、ボルボはサステナビリティを踏まえて将来的なレザーフリー化(本革の不使用)を宣言。

C40リチャージはそれも実現するボルボの最初のモデルであり、シートはもちろん、ステアリングホイールやシフトセレクターなども本革ではなく合成素材を組み合わせている。

レザーフリーは世の中のまだ一部の動きだが、かつて世界に先駆けで「安全性」を盛り込んだように、将来を見据えてベストと思える選択をいち早く導入するのがボルボらしい。

本革に代わって合成レザーが使われたステアリングの肌触りは気になるところだが、高品質の本革と変わらない滑らかさで言われなければそれに気づかないほど。

参考までに、コスト面において現時点では本革に対するメリットはなく、本革の不使用は決してコストダウンではない。

また、世界のトップ水準を走る先進安全装備に加え、市販車として初めてクルマにグーグルを組み込んでいるのもボルボらしい先進性と思える。

グーグルアシスタントの音声認識やグーグルマップによるカーナビなど、まるでスマホを扱うようにクルマのインフォテインメントシステムを利用できるのは新鮮だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    工藤貴宏

    Takahiro Kudo

    1976年生まれ。保育園に入る頃にはクルマが好きで、小学生で自動車雑誌を読み始める。大学の時のアルバイトをきっかけに自動車雑誌編集者となり、気が付けばフリーランスの自動車ライターに。はじめて買ったクルマはS13型のシルビア、もちろんターボでMT。妻に内緒でスポーツカーを購入する前科2犯。やっぱりバレてそのたびに反省するものの、反省が長く続かないのが悩み。
  • 撮影

    宮澤佳久

    Yoshihisa Miyazawa

    1963年生まれ。日大芸術学部写真学科を卒業後、スタジオ、個人写真家の助手を経て、1989年に独立。人物撮影を中心に、雑誌/広告/カタログ/ウェブ媒体などで撮影。大のクルマ好きでありながら、仕事柄、荷物が多く積める実用車ばかり乗り継いできた。遅咲きデビューの自動車専門誌。多様な被写体を撮ってきた経験を活かしつつ、老体に鞭を打ち日々奮闘中。

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