レクサスNX 詳細データテスト 内装とインフォテインメントは大幅に進歩 動力系と乗り心地は要改善
公開 : 2022.03.26 20:25 更新 : 2022.03.27 14:56
快適性/静粛性 ★★★★★★★☆☆☆
豪華なシートと、平均以上の遮音性能は、レクサスの伝統的な美点だった。ところが、高級サルーンブランドから普及価格帯のハッチバックやSUVへ裾野を広げていく数十年の間に、必ずしもそのレベルが高いとは限らないケースも出てきた。
新型NXはどうかというと、たしかにみごとなのだが、最新のアウディQ5や、おそらくはBMW X3にも、洗練度や快適性で勝ってはいない。レクサスが、それらのライバルを、そうした点で凌ごうとしてきたであろうことは間違いないのだが。
ゆったり走ると、タイトながらもしなやかな、独特ですばらしいコントロールぶりを発揮する。いうなれば、上級スポーツカーがみせるような身のこなしだ。それにより、キャビンは上質な雰囲気で満たされる。
ところが、20インチホイールを履いたテスト車は、路面の荒れた速度域の低いルートで苦戦する。せっかくエンジンが停止して、パワートレインがなめらかに動いているのに、それを損ねてしまう感じだ。この手のクルマは長距離移動ではなく、日常使いを目的に買われていることが多いのだから、これは大きな手落ちだと言わざるをえない。
このNXはくつろぎと安心感を与えてくれて、前方視界は良好で、室内は広く感じる。しかし、それらをもってしても、シャシーが荒れた舗装を制しきれず、キャビンへと伝えてしまうことを埋め合わせきれるものではない。
音環境についても、良好だが並外れていいわけではない。EVモードで短距離を走っているうちは、当然ながらきわめて静かだ。しかし、バッテリー残量が減ってくると、すぐにエンジンがかかってしまう。それが信号待ちなどで停車しているときにも起きるというのは、気の利かない話だ。
クルージング中にみせる、風切り音とロードノイズの遮音性はすばらしい。騒音計のデータを見ると、キアEV6と日産キャシュカイの中間くらいだ。