日本導入予定のSUV ヴォグゾール(オペル)・グランドランド PHEVへ試乗 バイザーグリルで一新

公開 : 2022.04.02 08:25

日本再上陸が予定されている、オペルの中型SUV。モデル中期の改良を受け、訴求力は一層高まったと英国編集部は評価します。

バイザーグリルと標準の運転支援システム

モデル中期のフェイスリフトは、塗装色の追加や新しいアルミホイールの設定などで済ませることもできる。だが、もっと大々的に手を加えることも可能。ヴォグゾールオペル)・グランドランドの場合は、しっかり時間が割かれたようだ。

コンパクト・クロスオーバーモッカに続き、中型のグランドランドにも、バイザーグリルとオペルが呼ぶフロントマスクが与えられた。フロントグリルとヘッドライトが一体化され、運転支援システムのセンサー類が、その内側に仕込まれている。

ヴォグゾール(オペル)・グランドランド 1.6ハイブリッド-e GSライン(英国仕様)
ヴォグゾール(オペル)・グランドランド 1.6ハイブリッド-e GSライン(英国仕様)

これまでのグランドランドは、若干個性が薄かった。フェイスリフトを経て、記憶に残るスタイリングになったと思う。

またこの改良は、モデルライン全体の再編成とも連携している。パワートレインの選択肢がスリム化され、トリムグレードも3段階へ絞られた。

エントリーグレードがデザインで、次がスポーティなGS。最も豪華装備となるのが、アルティメットだ。これには、マトリックスLEDヘッドライトが奢られる。オプションで、映像で夜間の運転を助けてくれる、ナイトビジョンも備わる。

プラグイン・ハイブリッド(PHEV)を選べるのは、GS以上。18インチのホイールにブラックのボディトリム、バックカメラ、LEDヘッドライトが装備される。

アダプティブ・クルーズコントロールと交通標識認識、衝突被害軽減ブレーキなどの運転支援システムも備わる。これは、すべてのグランドランドに標準装備となる。

優れた乗り心地と不足ない動力性能

パワートレインには、ガソリンターボかディーゼルターボというエンジンのみも選べる。しかし、ヴォグゾールはPHEVをより多く売りたいと考えており、フェイスリフト前から大幅に英国価格が下げられている。

動力性能という面でも、PHEVはグランドランドのトップ。2022年後半には、さらにパワフルな300psの四輪駆動版も追加されるという。

ヴォグゾール(オペル)・グランドランド 1.6ハイブリッド-e GSライン(英国仕様)
ヴォグゾール(オペル)・グランドランド 1.6ハイブリッド-e GSライン(英国仕様)

メカニズム的にはフェイスリフト前と大きな違いはなく、走りは有能なまま。小さな凹凸を巧みに均し、乗り心地は良く、長距離移動もリラックスしてこなせる。

ステアリングホイールの操舵感は軽めで、反応は性格。しかし、コーナリングでは増えた車重を隠しきれない様子だった。

エンジンは1.6L 4気筒ガソリンターボで、そこに駆動用モーターが組み合わされ、システム総合での最高出力は228ps。このクラスのクロスオーバーとしては、不足なく速い。

ただし、駆動用モーターは低速域で若干反応が鈍い。8速ATも、アクセルペダルを踏み込んでキックダウンするまでに、多少の躊躇が見られる。

スポーツ・モードを選択すると改善するものの、モード切替のスイッチは、右ハンドル車ではシフトレバーの反対側。運転中に、すぐに触れられる位置ではないのが惜しい。

アクセルペダルを丁寧に扱えば、エンジンをしばしば停止させ、駆動用モーター中心の滑らかな走りに浸れる。市街地だけでなく、高速道路の速度域までカバーも可能。回生ブレーキの効きは、速度を問わず好印象だった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    トム・モーガン・フリーランダー

    Tom Morgan-Freelander

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事