アウディTT RS プラス・ロードスター

公開 : 2012.06.15 15:46  更新 : 2017.05.29 18:18

■どんなクルマ?

アウディの究極の、そして限定生産のオープン・トップ・モデルがこのアウディTT RS プラス・ロードスターだ。標準的なTT RSよりも20bhp高い335bhpまでにチューンアップされた5気筒2.5リッター・ターボ・エンジンを搭載するモデルである。

■どんな感じ?

僅か1512kgのボディウエイトによってスーパーカーのような加速を見せる。より強力なライバルであるBMW Z4 sドライブ35iSや、メルセデス・ベンツSLK55 AMGよりも僅かにストレートで遅い程度だ。トラクションを導き出す4WDシステムと、素早い変速を可能とする7速デュアル・クラッチ・ギアボックスが、それぞれの仕事をかっちりとこなしてくれる。

エンジンは47.2kg-mのピーク・トルクを1650rpmから5400rpmの間で発してくれるもので、非常に大きなフレキシビリティがある。そのため、多少怠惰なギアチェンジをしても十分な柔軟性を示してくれる。また、そのサウンドは美しい豊かなサウンドを囀るが、一旦スロットルを開けるとオリジナルのクアトロにも似た逞しい音に代わる。問題があるとすれば、そのおそろしく個性的なエンジンが、その高まるサウンドに応えられるだけの高揚感に欠けることだ。

また、そのアルミニウム・シャシーは、ある程度、路面の凹凸には対処してくれるものの、このクラスのクルマに求められる滑らかさは有していないようだ。

ハンドリングも急激にステアリングを切った時についていけず、初期においてはアンダーステアを誘発してしまう傾向も見られた。それは、アウディが他のモデルでは巧みに処理しているトルセンのセットアップが、このTT RS プラスに限ってはリアに偏ってしまっているからかもしれない。更に、他の横置きエンジンのアウディ・モデルよりも、TT RS プラスはハルデックス・マルチ・プレート・クラッチの調整に洗練されたものを感じなかった。

TTの各部はさすがに年齢を感じさせるものとなっている。特に、インテリアは期待に反して時代遅れな部分を感じずにはいられない。クオリティには何の問題もない。それはアウディの高い標準をクリアしてはいる。しかし、ダッシュボードの一部は8年前に登場した第2世代のA3を思わせるものがあった。

機能面は素晴らしく、多機能な調整が可能なステアリング・ホイールやシートのお陰でポジションは最適なものが選ぶことができる。折りたたみ式のハードトップを持ったライバルと異なり、その硬いプラスティック製のトノカバーの下に収まるファブリック・フードは、走行中でも開閉が可能だ。

■「買い」か?

TT RS プラスは寄せ集めといった感じがしなくもない。速くはあるが、印象的なドライブ・フィールを感じるためのダイナミックな何かが欠けているような気がしてならない。より手頃な価格の標準的なTTでも、TT RS プラスと同程度の興奮は味わうことができてしまうのだ。

(グレッグ・ケーブル)

アウディTT RS プラス・ロードスター

価格 52,265ポンド(642万円)
最高速度 280km/h
0-100km/h加速 4.4秒
燃費 10.8km/l
Co2排出量 212g/km
乾燥重量 1512kg
エンジン 5気筒2490ccターボ
最高出力 355bhp/5500rpm
最大トルク 47.2kg-m/1650rpm
ギアボックス 7速デュアル・クラッチ

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