最多売モデルが2代目へ メルセデス・ベンツGLC 220d 試作車へ試乗 クラスリーダーの片鱗 後編
公開 : 2022.04.01 08:26
成功を掴んだ先代の長所を伸ばした、次期GLCが完成間近。英国編集部がその仕上がりを、ひと足先に試作車で確かめました。
クラス初となる後輪操舵システムも搭載
2代目へのモデルチェンジを控えた人気SUV、メルセデス・ベンツGLC。電動化技術の導入に関しては、パワートレインだけでなく、全体的なシステム設計にも及んでいる。
その核をなすのが、対話形式での操作へ対応した、NTG7と呼ばれるオペレーティング・システムの実装だ。半自律運転にも対応した、高機能な運転支援システムも標準で搭載される。高度にクルマ全体が連携しているといっていい。
サスペンションは、アダプティブダンパー付きのスチールコイルが標準設定。フロントが4リンクのダブルウイッシュボーン式で、リアがマルチリンク式となる構成は、現行のCクラスに通じている。
車高調整機能付きのエアサスペンション、エアマティックもオプションで選べる。乗り心地も向上するはずだ。
さらに2代目GLCには、このクラスとしては初となる、後輪操舵システムも搭載される。こちらも、基本的にはCクラスと同じシステムがベースだという。
ただし、リアタイヤの角度は2.5度ではなく、最大4.5度まで制御される。最小回転直径は11mを切るというから、狭い駐車場などで恩恵を感じるだろう。
さて、今回試乗したのはマイルド・ハイブリッド・ディーゼルターボのGLC 220d プロトタイプ。四輪駆動となる4マティックで、ワゴン風のSUVボディだった。
新水準に達したパワートレインの洗練性
220dは、軽油を燃料とする2代目GLCのなかでは最も馬力が劣るものの、発進加速には充分な勢いがあった。走行時のたくましさにも、不足は感じられなかった。
試乗したスウェーデンのテストコースは氷と雪で覆われていたものの、2.0L 4気筒ディーゼルターボ・エンジンは反応が鋭く粘り強い。車内へ伝わる振動は小さく、ディーゼルらしいカラカラというノイズも見事に抑え込まれていた。
エンジンに組み合わされるトランスミッションは、トルクコンバーター式の9速オートマティック。変速は終始滑らかだった。パワートレインの洗練性が新水準に到達していることは、明らかといえるだろう。
四輪駆動システムのトルク配分は、前後で45:55が標準。路面状況的に出せるスピードは限られていたものの、初代GLC以上に安楽で落ち着いたドライビング体験を生んでいただけでなく、トラクションの高さにも関心させられた。
その走りを支えていたのが、新しい電装系の採用に合わせて改良を受けた、スタビリティ・コントロール。ホイールスピンを感知すると、従来より高速で繊細に、ホイール毎のブレーキ制御が可能だという。
少なくとも試作段階の220d 4マティックを試乗した限り、オンロードマナーも相当に煮詰められている印象。初代以上に上質で、このクラスのSUVでは際立つ仕上がりになりそうだ。