ルノー・メガーヌR.S.275トロフィー
公開 : 2014.06.17 23:50 更新 : 2021.03.05 21:35
■どんなクルマ?
ルノー・メガーヌR.S.275トロフィーは、現在発売中のメガーヌ265カップと、数々の前輪駆動のライバルが打ち立てニュルブルクリンクでのベスト・ラップを片っ端から塗り替え続けるメガーヌR.S.275トロフィーRの中間に位置する過激なモデルである。
あくまで275トロフィーは、以前発売されたレッドブル・レーシングRB7やRB8と同等のスペシャル・エディションといった位置付けで、トロフィーRのように限定販売するものではなく、英国では約100台程度の販売を予定しているそうだ。
インテリアはエクステリア同様に、内装と色違いのステッチやアルカンタラ巻きのステアリング・ホイール、シリアル・プレートがあしらわれることにより他モデルとの差別化が図られ、また265と同様にシートは5人分用意され、カップ・シャシーには機械式LSDが組み合わされる。
エグゾースト・システムにはアクラポヴィッチによるチューニングが施された結果最高出力は10psアップし、標準のブリヂストン・タイヤと18インチのホイールとの組み合わせだけでなく、トロフィーRに採用されるミシュラン製のタイヤと19インチのホイールへとオプションで変更するできるようになった。
さらにオプションにてトロフィーRに組み合わされるオーリンズ製の可変ダンパーを選択可能になり(トロフィーRの場合は£28,930(428万円)の車両価格+£2000(30万円)の追加コストが必要)、作業ができる環境と工具があればフロントとリアがそれぞれ20段階と30段階調整することができる。ルノースポールは、われわれがこのクルマをテストするノルトシュライフェ(ニュルブルクリンク北コース)を含む、それぞれの環境に適合したダンパー・セッティングをウェブ上で公開する予定だということだ。
■どんな感じ?
たった2ラップだけではクルマの全てを掴み得ないことは事実だが、ニュルブルクリンクの20分間も凹凸の激しい道が続く場面では、非常に高速で安定感のある走りを見ることができた。
その間このクルマは素晴らしいパフォーマンスを発揮し続け、275psの最高出力と、3000-5000rpmの範囲外でも発生する力強いトルクはルノースポールをして ’ダウン・シフト要らず’ とも言わしめる出来栄えであった。これに関しては全面的に賛成することは難しいが、広範囲に渡りレスポンスに優れ、エグゾースト・ノートがある種の興奮を呼び覚ましてくれる事は間違いない。しかしながらペダル配置が原因でヒール&トゥーをし難かった事をここに書き加えておく。
ハンドリングのレベルは際立って高く、これほどに高いフィーリングを持つならば油圧ステアリングを罵る余地もないだろう。さらに、多大なるグリップ性能があり、柔軟性も高く、ルノー・スポールのトレード・マークたるドライバーとクルマの人馬一体感も健在だ。先代の三菱ランサー・エボリューションやフォード・フォーカスRSと同等のドライビングに対する不退転さを手に取るように感じることができるのである。
もっとも、公道をテストしたわけではないのでオーリンズのダンパーが必要不可欠であると断言することはできないが、ニュルブルクリンク特有の風変わりなコーナリングを走行する際もハーシュネスとは無縁で、巧みなボディ・コントロールのおかげで、ニュルのラップ・タイムだけを突き詰めた車によくある公道での乗り心地を蔑ろにした印象はないと言ってよさそうだ。
■「買い」か?
ニュルブルクリンクを走行した際の、クルマの能力と手際の良さが公道でも保障されるのだろうかと感じられる読者もいるかもしれないが、筆者に言わせてみればこのクルマの場合、イエスだ。したがって、数あるホットハッチの中で最も優れていると言って良いだろう。
(マット・プライヤー)
ルノー・メガーヌ275R.S.トロフィー
価格 | £28,930(500万円) |
最高速度 | 254km/h |
0-100km/h加速 | 6.0秒 |
燃費 | 13.3km/ℓ |
CO2排出量 | 174g/km |
乾燥重量 | 1379kg |
エンジン | 直列4気筒1998ccターボ |
最高出力 | 275ps/5500rpm |
最大トルク | 36.8kg-m/3000-5000rpm |
ギアボックス | 6速マニュアル |