【実際に購入レポート】ポルシェ・タイカンの長期テストを開始しました

公開 : 2022.03.28 12:10  更新 : 2022.04.07 19:09

AUTOCAR JAPANの笹本健次編集長は、ポルシェ・タイカンを購入し、長期テストを開始します。

ポルシェタイカン 長期テストを始めます

この2年間、国の経済を麻痺させ続けていたコロナ禍が、ようやく落ち着きを見せ始めた矢先に、ロシアによるウクライナへの侵攻という暴挙が始まった。

それに対し、西側諸国では厳しい制裁をロシアに課したために、エネルギー価格が高騰を続けている。

更に国内では、先日の東北の地震により発電所の設備が破壊され、それにより、電力網の整備不足が顕在化し節電が呼びかけられている。

一寸先は闇、などという諺を言うつもりはないが、今年に入ってまだ、3か月しか経っていないのに、あまりに大きな世の中の変わり様だと思わざるを得ない。

資源弱小国の日本は、いったい今後、どのようなエネルギーに依存してゆくのがベストなのか、国を守る、という観点から改めて真剣に考える必要があると感じるこの頃である。

さて、そんなときに、ポルシェ・タイカンの長期テストを始めることになった。

ポルシェ・タイカンの購入を検討し始めた背景

現在の世の中の流れを見ると、全世界のメーカーがこぞってEVへと舵を切っているのは明確だが、決してEVだけが最終の解決策ではなく、その先に水素など第3のエネルギー源があることは理解しているつもりだ。

しかし、ジャーナリストであり、また、趣味のクルマの世界でも、様々なスポーツカーを購入したり、試乗してきた身からすれば、スポーツカーの絶対的なアイコンの1つであるポルシェのEVは非常に興味深く、気になる存在である。

また、昨年から、積極的にそれぞれのメーカーのEVを試乗してきた経験から、EVの使用にあたっては、とにかくインフラ整備が一番重要であり、その点では、まだまだ日本は遅れていると思わざるを得ないことが多いと強く感じた。

しかし、ポルシェ社は、独自にポルシェ・チャージング・ネットワークの普及に努めており、私のもう1つの仕事場である、山梨の常磐ホテルにも大容量8kWの普通充電器が2基装備されたことをきっかけとして、真剣にポルシェ・タイカンの購入を検討し始めたのである。

現在、使用中のレンジローバー・イヴォークが約2年半経過し、走行距離も4万kmを経過したので、そろそろ、次期モデルを探そうとしていた時であり、タイミングとしても良い時期であった。

目の前に現れた後輪駆動かつ「素」のタイカン

いざ新車を買おうか、となって、ディ―ラーにさりげなく様子を聞くと、今年の1月時点で、6か月~1年待ちという回答が来てしまい、これでは話にならず、現在ある在庫車や認定中古車を当たってみても、殆どのクルマが、オプションで装備されるパフォーマンス・バッテリー・プラスを装着しておらず、一時は暗礁に乗り上げそうになった。

一瞬だけアウディeトロンGTに心が揺れ動いたりもしたが、パナメーラの購入時以来、懇意にしているポルシェ青山のTさんに探してもらうと、何と、ポルシェセンター青山が発注している後輪駆動のベイシックなタイカンが1台、3月に納車可能なことが分かった。

アイスグレイメタリックのポルシェ・タイカン。
アイスグレイメタリックのポルシェ・タイカン。    神村聖

タイカンのモデル構成は、タイカン、タイカン4S、タイカンGTS、タイカン・ターボ、タイカン・ターボSの5バリエーションで、昨年2週間に亘って試乗をしたのはターボSであった。

ターボSは4駆でパワーもあり高速道路のロングツーリングには何の不足もないが、車重は、素のタイカンに比べると200kg余りも重くなってしまう。

しかも、価格もほぼ倍の2468万円もするので、当然のこととしてリストから落ちた。

候補に最後まで残ったのは、GTSと後輪駆動の素のタイカンであったが、GTSは在庫が全く無く、結局、前述のベイシックなタイカンに落ち着いた。

というより、このクルマ以外は殆ど選択の余地がなく、気に入るかどうか、という状況だったのである。

私にしてみれば、ポルシェの新しいEVモデルであるタイカンが、RRの911の個性を、特に走り味において残しているか、が一番の興味であったので、提示されたクルマはむしろ歓迎であったが、ボディカラーのアイスグレイメタリックの色合いのイメージが湧かず、ショールームにたまたま存在した同色のクルマをチェックに行って確認したりした。

結果的には、このカラーはとても面白い色合いで、明るい日差しの中では白みが増し、曇りや夕暮れなどでトーンが落ちるとグレーが浮き出てくる、という味のあるカラーであることが分かり、とても気に入った。

記事に関わった人々

  • 執筆

    笹本健次

    Kenji Sasamoto

    1949年生まれ。趣味の出版社ネコ・パブリッシングのファウンダー。2011年9月よりAUTOCAR JAPANの編集長、2024年8月より総編集長を務める。出版業界での長期にわたる豊富な経験を持ち、得意とする分野も自動車のみならず鉄道、モーターサイクルなど多岐にわたる。フェラーリ、ポルシェのファナティックとしても有名。
  • 撮影

    神村聖

    Satoshi Kamimura

    1967年生まれ。大阪写真専門学校卒業後、都内のスタジオや個人写真事務所のアシスタントを経て、1994年に独立してフリーランスに。以後、自動車専門誌を中心に活躍中。走るのが大好きで、愛車はトヨタMR2(SW20)/スバル・レヴォーグ2.0GT。趣味はスノーボードと全国のお城を巡る旅をしている。

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