当時最高の空力性能 ヴォグゾール(オペル)・カリブラ 英国版クラシック・ガイド 後編
公開 : 2022.04.10 07:06
購入時に気をつけたいポイント
エンジン
赤いヘッドカバーの付いたユニットは、モータースポーツでの活躍もあって、熱い支持を集めた。素晴らしいエンジンだからこそ、定期点検は怠りたくないところ。
16バルブ・ユニットはヘッドの亀裂、ヘッドガスケット周辺からのオイル漏れに注意したい。ターボシールも定期的に点検したいポイント。タイミングベルトは、約4万kmか5年以内での交換が求められている。
V6エンジンの場合、タイミングベルトは約6万4000km毎、補機ベルトは約9万6000km毎、テンショナーは約16万km毎での交換が必要。履歴が不明なら、早めに交換したい。タイミングベルトと一緒に、ウオーターポンプの交換も忘れずに。
トランスミッションと四輪駆動システム
カリブラのMTはゲトラグ社製。ターボには6速が奢られている。シフトフィールに違和感がないか、クラッチの摩耗状態やフルードの劣化具合を確かめる。
トランスファーボックスが弱点。定期的にタイヤをローテーションして均一に摩耗させることで、メカニズムへの負担を軽くできる。
ボディ
ターボのカリブラを除いて、サビに悩まされることは少ないという。それでも、リアのホイールアーチやフェンダーパネル、フロントフェンダー下部とインナーフェンダー、樹脂製ボディトリムの裏側、ボンネットの両端、サンルーフ周辺などは状態を確かめたい。
少々確認しにくいが、サスペンション・マウント付近と荷室のフロア、サイドシルと車内フロア、ジャッキアップポイント、ステアリングラック・マウント、リアブレーキのバックプレート、燃料やブレーキのパイプ類もチェックポイント。
雨水等を流す、フロントガラス付け根部分に開けられたドレインホールを確認する。詰まると水が流れなくなり、バルクヘッドなどが錆びてしまう。サンルーフ用とテールゲート用にも、2つづつドレインホールがある。
インテリア
シートのサイドサポートは擦り減りやすい。天井の内張りとドアパネルは、湿気や温度変化で剥がれたり傷んでくる。
サスペンションとブレーキ
ダンパーのヘタリは想定の範囲内。ロアアーム・ジョイントは、車高が落され大径ホイールを履いているカリブラでは痛みやすい。足まわりの点検と同時に、ブレーキのチェックも忘れずに。
ヴォグゾール(オペル)・カリブラのまとめ
残念なことに、カリブラは部品不足に悩まされている。英国には、得意とする専門ショップも存在しないようだ。しかし近年、モダン・クラシックとして価値が急上昇しており、部品の再生産も一部で始まっている。
過去のオペルのスポーツモデルを見ても、カリブラの人気が下がることはないだろう。四輪駆動のメカニズムを除いて、基本的には信頼性が高く長く乗れる。
英国の中古車市場を探すと、状態の良いカリブラも出てくる。トリムグレードは多彩だから、お好みのカリブラを見つけるのも面白いだろう。
良いトコロ
素晴らしい見た目に、優れた価格価値。英国では限定仕様も多く登場し、同じカリブラと出会うことはまれ。オーナー自身も、正確にグレードを把握していない場合もあるようだ。掘り出し物が見つかるかもしれない。
良くないトコロ
修理部品の入手が難しい状態にあり、低コストでの維持は難しいだろう。廃車置場に放置されている例も、少なくないようだ。
ヴォグゾール(オペル)・カリブラ(1990〜1998年/英国仕様)のスペック
英国価格:1万6740〜2万2215ポンド(1994年時)
生産台数:23万8164台
全長:4492mm
全幅:1688mm
全高:1320mm
最高速度:202-241km/h
0-97km/h加速:6.2〜9.5秒
燃費:8.9-12.4km/L
CO2排出量:−
車両重量:1205-1405kg
パワートレイン:直列4気筒1998cc自然吸気・ターボ/V型6気筒2498cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:116ps/5200rpm-204ps/5600rpm
最大トルク:17.2kg-m/2600rpm-28.5kg-m/2400rpm
ギアボックス:5速・6速マニュアル/4速オートマティック