PHEVってホントにエコなの? 燃費・CO2排出量に「疑問」の声 EUで規制強化も
公開 : 2022.04.02 06:05
消費者には「現実的」な選択肢
自動車メーカーは、意図した通りに適切に充電・運転されれば、排出量削減の有用なツールになることを当局に証明しようとしている。すでに多額の税金を節約している場合は、そうもいかないのだが。
シトロエンのヴァンサン・コベCEOは、新型C5 Xの発表会において、「当社は累計2億kmの実績に基づいて、燃費と、充電する人の数に影響を与えるものを知っている」と語った。それは、充電ケーブルを取り出せというリマインダーだという。「充電の頻度が低ければ低いほど、リマインダーの頻度が高くなる」とのことだ。
一方、BMWは、2020年に運用を開始した英国市街地における「eドライブ・ゾーン」の数を13に拡大した。これは、ユーザーにBMWと連携した充電ステーションで利用できるポイントを付与することで、都市中心部でのバッテリー使用率と充電量を増やし、大気環境の改善を促すものだ。
また、自動車メーカー各社はPHEVの搭載バッテーリーを大型化し、電気のみの航続距離を伸ばしている。例えば、新型レンジローバーのPHEV仕様は電気のみで113km走行可能で、税制面でのメリットも大きい。
だが、PHEVにまとわりつくデメリットはこれまでと同じ。ICCTによると、2020年に販売されたPHEVの車両重量は平均1921kgと、バッテリーEVの1686kg、内燃エンジン車の1457kgに比べて大幅に重い(大型SUVがPHEVに多いことも一因であるが)。
また、バッテリーのパッケージングにより、トランクルームのスペースが失われるのが一般的だ。しかし、多くの消費者にとっては、PHEVは節税と実用的な航続距離を確保するための「唯一の現実的解決策」なのである。
EU当局の支持を得られるかどうかは、ユーザーがいかに質素な運転をするかということにもかかっている。もし、ごく一部の人でも充電器によるバッテリー補充をしなかった場合、燃料使用量の増加が記録され、罰則によってPHEV市場が早々に衰退する可能性がある。