トヨタGT86
公開 : 2012.06.15 17:53 更新 : 2021.01.28 18:11
■どんなクルマ?
GT86は、屋根のないマツダMX-5を除けば、現在入手できるほぼ完璧に近いシンプルなスポーツ2シーターだ。しかし、トヨタがこのクルマに与えた命題は、ただ乗っていて愉しいクルマということだけではない。GT86は、豊田章男社長が提唱する、信頼性を重視したり複雑な機構を持つよりも、むしろファン・トゥ・ドライブなクルマをつくるという強い信念を表現するためのフラッグシップと言える存在なのだ。そして、かつてのMR2やセリカ、スープラがわれわれを興奮させた頃を彷彿とさせるクルマでもある。
しかし、トヨタはこの新しい後輪駆動のクーペを、スバルの参加なしでは作り得ることができなかったという。というのも、低重心をもたらす2.0リッター・フラット4エンジンがこのクルマの設計には必須だったからだ。
スバル自身もBRZという名前でほぼ同一のクルマを同じ生産ラインからリリースしているのは有名な話だ。その価格は、24,995ポンド(304万円)からで、もし6速マニュアルの代わりに6速オートマティック・ミッションを望むのであればプラス1,500ポンド(18万円)がエクストラ・コストとして必要となる。
GT86は英国には7月初め頃にショールームに届くこととなっている。今年は2,000台の販売を目標としており、来年は5,000台という計画を立てている。
■どんな感じ?
ブリリアントのひとことに尽きる。
GT86をドライブするのは実にシンプルなことだ。
英国の典型的な郊外の路面の凹凸でも、意図的にスポーティな味付けのされているサスペンションがよく対処してくれる。ボディ剛性は高く、よく出来ている。乗り心地はフラットで、サスペンションは驚くほど静かだ。
郊外のオープンロードでは、驚くほどボディ・コントロールの効いたダンピングを見せてくれ、コーナリング・グリップも非常に高いレベルにある。FWDや4WDモデルでは決して味わうことのできない繊細なバランスと、コントローラブルさがこのリア・ホイール・ドライブのシャシーには存在する。
また、GT86は、ネコのようなスピードと優雅さをもって、その方向を変えることが可能だ。ステアリングはこのサイズのサルーンよりは固いが、シャープで見事なほどインフォメーションを伝えてくれる。
イージーにシフトできるギアボックスのギア・レシオもパーフェクトだ。
街中では、197bhpのスバル・エンジンは柔軟で、そのフラット4サウンドを愉しむことができる。しかし、ベストを求めるのなら、回転を上げなければならない。具体的には5000rpmから7500rpmの間を保てば、GT86は非常に鋭いレスポンスを示してくれる。
0-100km/hは7.6秒で、最高速は225km/hだ。
何よりも優れているのは、GT86はレスポンシブで、英国のチャレンジングで変化の激しいオープン・ロード向きであるということだ。
■「買い」か?
何があなたを止めているのだろうか。おそらく家族があるのであれば、問題はリア・シートのスペース不足だけだ。それが問題でないのであれば、GT86はすべての局面で愉しむことができるクルマだ。ディーラーのサポートも完璧で、信頼性もあり、そして何よりもこのクルマが普通に入手可能ということも嬉しい。確かに今の時代、スポーツカーを持つこと自体が難しくなっているのは事実だ。しかし、GT86の楽しさは、そんなことに影響されることはない。
今、あなたの下取り車は何ですか?
(スティーブ・クロプリー)
トヨタGT86
価格 | 24,995ポンド(304万円) |
最高速度 | 225km/h |
0-100km/h加速 | 7.6秒 |
燃費 | 12.8km/l |
Co2排出量 | 181g/km |
乾燥重量 | 1240kg |
エンジン | 水平対向4気筒1998cc |
最高出力 | 197bhp/7000rpm |
最大トルク | 20.9kg-m/6400rpm-6600rpm |
ギアボックス | 6速マニュアル |