英米オフローダー比較 フォード・ブロンコ x ランドローバー・ディフェンダー 尊重したい独自性 前編

公開 : 2022.04.09 09:45

英国では価格で並ぶディフェンダー

かなりの高額だが、ジープラングラーの上級グレードにも同等の予算が必要だから、法外とまではいえないだろう。そして、不足なくオプションを追加したランドローバー・ディフェンダーを選べる価格でもある。

初代ランドローバーは、1940年代後半に初代ジープと同じような目的で開発された。安価で軽量で、進む道を選ばないオフローダーとして。

途中でランドローバー・ディフェンダーと名前が改められ、性能も磨かれてきた。装備も整えられ、実用性は向上していたものの、初代ブロンコと同じように充分な現代化は得られていなかった。

先代のディフェンダーは2016年まで生産が続けられていたが、燃費は悪く、衝突安全性も時代遅れといわざるを得なかった。だが英国伝統のオフローダーとして、絶やすことはできなかった。2020年、現行型へ大胆なモデルチェンジを果たしている。

今回、ブロンコの比較相手として用意したのは、ショートボディのディフェンダー 90。実用性以外の部分でも、ブロンコとの違いは多い。長期テスト車両として、既にAUTOCARのサイトに登場しているクルマだ。

エンジンは3.0L直列6気筒のターボディーゼルで、最高出力248psを発揮する。一方のブロンコは、2.3L直列4気筒のターボガソリン。最高出力は274psある。

英国価格とオフロード能力で、2台は近似している。ディフェンダーは約4万6000ポンド(約736万円)からに設定されているが、今回のクルマは6万4485ポンド(約1032万円)だ。

多様なドライブモードが用意された四輪駆動

どちらも本格的なオフローダーで、初代の雰囲気を匂わせるスタイリングという点でも共通している。四輪駆動システムにはローレンジが用意され、多様なドライブモードも実装されている。

悪路に対応するドライブモードを、ランドローバーがテレインレスポンスと呼ぶ一方で、ブロンコではGOAT(ゴート)と名付けられた。これは、どんな地形でも走れる、という意味の英語表記の略だ。

フォード・ブロンコとランドローバー・ディフェンダー 90のクリアランス角
フォード・ブロンコとランドローバー・ディフェンダー 90のクリアランス角

トランスミッションは、ブロンコではマニュアルも選べるが、今回は10速オートマティックが載っている。ディフェンダーは、おなじみの8速オートマティックが載る。

では、オフロード性能で勝るのはブロンコかディフェンダーか。残念ながら、今回の比較では確かめることが許されなかった。

黒いブロンコの方は、既に嫁ぎ先が決まっていたのだ。クルマへ過度に負担がかかるような、悪路への立ち入りはできなかった。さらにタイヤはオンロード用で、本来の能力を発揮することも難しかった。

悪路で重要な、最低地上高とフロント・オーバーハング側のアプローチアングル、ホイールベース間のブレークオーバーアングル、リア・オーバーハング側のデパーチャーアングルを比較してみよう。少なくとも、許容できる地形はわかる。

フォード・ブロンコの4ドアでは、それぞれ順に295mm、43.2度、26.3度、37度。ランドローバー・ディフェンダー 90は、同じく順に290mm、37.5度、30.7度、40度となっている。渡河深度はブロンコが850mm、ディフェンダーが900mmだ。

この続きは後編にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 撮影

    リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

英米オフローダー比較 フォード・ブロンコ x ランドローバー・ディフェンダー 尊重したい独自性の前後関係

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