ビジョンEQXX 先鋭的技術の市販導入が決定 メルセデス・ベンツ、超短期間の開発プロセスなど活用

公開 : 2022.04.01 06:25

航続距離に最も重要な要素とは

最高出力204psのコンパクトな新型モーターは、軽量のカーボンファイバー製サブフレームに搭載され、1速トランスミッションを介して後輪を駆動する。

このモーターは、開発中のハイブリッド・ハイパーカー、AMGワンのものを参考にしたパワーエレクトロニクス・システムによって制御されるが、新世代のシリコンカーバイドを使用することにより、現行のEQシリーズに搭載されているシステムと比べて損失を大幅に削減しているとのことだ。

メルセデス・ベンツ・ビジョンEQXX
メルセデス・ベンツ・ビジョンEQXX

EQXXの開発チームを率いるイェルク・ブルツァーは、次のように述べている。

「EVの航続距離は簡単なようで、複雑な技術的課題です。一番簡単な方法は、搭載するバッテリーを大きくこと。しかし、これではサイズと重量の関係で、メリットが少なくなってしまいます。ビジョンEQXXでは、効率を新たなレベルに引き上げることに成功しました」

EQXXのフロントは、前縁が低く、短いボンネット、シェイプされたフェンダー、大きなホイールハウスなど、スポーツカーのような外観を呈している。メルセデスの特徴であるグリルは、フロントバンパーの星のグラフィックに置き換えられ、ヘッドライトはフルワイドのLEDライトバーで結ばれている。

軽量化と空力効率を最大限に高めるため、ボンネットにはメルセデスのスリーポインテッドスターが刻印されている。また、「第9世代」と呼ばれるサイドミラーと、新開発のエアロホイールが装着されている。

ノーズ部分に駆動系部品がないためAピラーがかなり前に出ており、ホイールベースも2800mmと長く、室内スペースを最大限に活用できる。

リアでは、2015年の「コンセプトIAA」で初めて披露した可動式空力パーツの発展型を取り入れている。速度が上がるとディフューザーが自動的に伸び、空気の流れを整えて、高速走行時の乱気流を低減させるものだ。

また、ボディはフロントからリアにかけてわずかに細くなっており、リアトレッド幅はフロントより50mm狭い。

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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