1.5Lターボ+190psモーター 日産キャシュカイ(デュアリス) e-パワー 試作車へ英国試乗 

公開 : 2022.04.11 08:25

e-パワーに大型モニターで訴求力アップ

キャシュカイ e-パワーのアクセルペダルを踏み混んでみる。始めは駆動用モーターだけで進み始め、車内はとても静かだ。

ダッシュボードにはパワーフローの情報が表示される。脇目で確認していると、エンジンがバッテリーを充電するため、頻繁に稼働しているのがわかる。だが遮音性に優れ、スピーカーからノイズキャンセリング音が再生されるため、殆ど気付かない。

日産キャシュカイ(旧デュアリス) e-パワー・プロトタイプ
日産キャシュカイ(旧デュアリス) e-パワー・プロトタイプ

さらにアクセルペダルを踏み込むと、エンジンが低圧縮比へ変化し、高い回転数に上昇。190psの駆動用モーターが一時的に全力を発揮するのに、不足ない電気が生み出される。

回転数が高まるのに伴い、3気筒独特のビートが聞こえてくる。純EVのような、静けさとは異なる。ペダル操作とエンジン音との不一致感はあるものの、トヨタの新しいハイブリッドのようにマナーは良く、不快ではない。

シリーズ式ハイブリッドは、従来からあった技術ではある。それでも、キャシュカイ e-パワーのシステムは、とても訴求力があると感じた。

またキャシュカイは、e-パワーの追加に合わせて、インフォテインメント・システムも一新された。タッチモニターのサイズが一気に大きくなり、グラフィックの鮮明度も大幅に良くなった。ファミリーSUVとして、支持を得やすい改善といえるだろう。

オススメできるかどうかは価格次第

冒頭の2つの課題を解決してきた、日産キャシュカイ e-パワー。今回の試乗車はまだプロトタイプではあったが、仕上がりの良さには期待できる。ただし今回はさらに2点、気になるポイントが残っている。

1つ目は、運転を許されたルートが、テストコース内に限られたということ。市街地や郊外の幹線道路、高速道路などを模した道だったが、正しい評価をするには、実際の公道で確かめる必要がある。

日産キャシュカイ(旧デュアリス) e-パワー・プロトタイプ
日産キャシュカイ(旧デュアリス) e-パワー・プロトタイプ

もう1つは、英国価格が決定していないこと。シリーズ式ハイブリッドには、他社のハイブリッドより大きな駆動用モーターとバッテリーが必要になる。その結果が、価格に跳ね返ってきたとしても不思議ではない。

少なくとも、キャシュカイ e-パワーのプロトタイプは優れた印象を与えてくれた。競争力のある価格設定がされれば、説得力の高いファミリー・クロスオーバーに仕上がるだろう。実際に強くオススメできるかどうかは、価格次第といえそうだ。

日産キャシュカイ(旧デュアリス) e-パワー・プロトタイプのスペック

英国価格:未定
全長:4425mm
全幅:1838mm
全高:1635mm
最高速度:167km/h(予想)
0-100km/h加速:8.5秒(予想)
燃費:18.9km/L
CO2排出量:119g/km
車両重量:1650kg(予想)
パワートレイン:直列3気筒1498ccターボチャージャー+電気モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力:190ps(駆動用モーター)
最大トルク:33.5kg-m(駆動用モーター)
ギアボックス:シングルスピード

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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