マツダCX-60登場で揺らぐ? CX-5「微妙な」立ち位置 乗り比べて明らかになったこと
公開 : 2022.04.07 17:45
CX-60とCX-5を比較すると……
乗り比べの順序として、まずはCX-5 AWDを関東地方周辺の高速道路、一般路、そしてワインディング路でじっくりと走らせた。
また、CX-60については、マツダ美祢自動車試験場(山口県美祢市)で開催されたラージ商品群技術フォーラムで、2.5L直4のプラグインハイブリッド車と3.3Lディーゼル48Vマイルドハイブリッド車(欧州仕様車のプロトタイプ)でそれぞれAWDに乗った。
これら試乗でコースを周回する際の先導車に、CX-5とCX-8が使われていたため、試乗の乗換時間を利用して、停車中のCX-5とCX-8の車内に乗り込んでインテリアの造形や座り心地などについてCX-60と比較してみた。
まずは、外観だ。
ボディ寸法は、CX-60が全長4742mm×全幅1890mm×全高1691mm、ホイールベースが2870mm。
一方、CX-5は、全長4575mm×全幅1845mm×全高1690mm、ホイールベースが2700mm。
CX-8は、全長4900mm×全幅1840mm×全高1730mm、ホイールベースが2930mmだ。
つまり、全長では、CX-60はCX-5とCX-8の中間だが、車幅が最も広い。
CX-60の車内に入って感じる差は、ダッシュボードが薄く、低く、そして水平方向に広いという点だ。
Aピラーの角度もCX-60は少し立っている印象があり、運転席からの見切りがとても良い。
サイズのひと回り小さいCX-5よりも、CX-60には停止状態での取りまわしの良さを感じる。
ワインディングで走りの差が鮮明に
では、走りの差はどうか?
その差は、FR(フロントエンジン・リア駆動)とFF(フロントエンジン・フロント駆動)の違いにあることは明らかだ。
ただし、CX-60を含むラージ商品群は、単なるFRではなく、マツダが開発哲学である「走る歓び」を追及するため、慣性重慮配分やクルマの剛性をカーブを曲がる際のクルマに対する力の伝達を在り方を根本的に見直すなど、「技術の発想での大きなジャンプ」(マツダ幹部)を具現化させた自信作である。
そのため、実際に乗り比べるとハンドリングと乗り味で、CX-60はCX-5を大きく凌いでいることが分かる。
とくに、その差ワインディング路で鮮明になる。
CX-5は軽快に走るのだが、若干ゆっさりとして動きが残る。
一方のCX-60は、水平対向エンジン搭載車に近いような、すっきりとした旋回を披露する。
また、CX-5は前後の上下動であるピッチングの中心点が後輪と前輪の間にあるが、CX-60は後輪よりかなり後ろにある。
そのため、美祢試験場で他の試乗車が走行する様子を見ると、CX-60は直線路でもカーブでも、クルマ全体が綺麗な姿勢でスゥーと動いているのが分かる。
このように、CX-60はCX-5に比べて明らかに上級モデルだといえる。