最速試乗 マツダCX-60 PHEV/ディーゼルを試す 他社とも違う「新しい乗り味」
公開 : 2022.04.07 11:03
マツダSUVの「身体拡張能力」
今回の試乗コースはレーシングコースとワインディング路を組み合わせたレイアウトだ。
ワインディング路では、このサイズのSUVにしては取りまわしが楽だと感じる。
その背景について、マツダは身体拡張能力おいて、クルマを身体図式に組み込むために3つのポイントがあると表現する。
1つは、ドライバーの操作とクルマの反応が素早くシンクロ(同調)すること。
2つめは、路面の凹凸など外乱や、ドライバーが操作を変化させた時にもシンクロが持続すること。
そして3つめに、クルマの反応を五感で正確に感じ取れる設計にすることだ。
これら3つのポイントを実現するために、エンジンを縦置きでFR(フロントエンジンリア駆動)として、クルマ全体の剛性をステアリング、フロントサスペンション、そしてリアサスペンションへと、力の伝達する順に下流になるほど剛性を高めるという設計を施した。
さらに、エンジンの配置をかなり後ろに下げて、いわゆるフロントミドシップに近い構成を実現した。
これにより重量物がクルマの重心に近いところに集まり、感性マスを小さくすることにつながっている。
マツダの実験データによると、小さな力で曲がる性能は、マツダのスモール商品群や、競合の縦置きモデルに比べて優っている。
クルマ酔いしにくい=良いクルマ
ワインディング路での扱いやすさに加えて、クルマの動きのブレや揺れが少ないと感じた。
単純にいえば、乗員がクルマ酔いしにくいという感じだ。
例えるならば、水平対向エンジンのような低重心なクルマに近い。
むろん、重量があるバッテリーパックが車体の床面にあるので、低重心になるのだが、他のプラグインハイブリッド車に比べてクルマの揺れやブレが少なく感じる。
これは、理論上のピッチングの中心点を後輪よりかなり後ろの車外に設定したことで、ピッチングではなくクルマ全体がバウンスする挙動に変わっているからだ。
では、動力性能はどうか?
レーシングコースでは、停止状態からアクセルを全開にして120km/hほどまで一気に加速してみた。
まず、制御モードをノーマルで走ると、低速でのモーター駆動からモーターアシフトがジワジワとした押し出す。
エンジンがかかるタイミングでは、エンジン音や振動はかなり少ない。
次にスポーツモードにすると、インパネのメーター周辺などが赤色を強調した表示となり、アクセルレスポンスがよくなったことがハッキリと分かる。
ただし、クルマがジャジャ馬になるような豪快さという切り口ではなく、クルマ全体の伸びやかな加速感を楽しむという、ドライバーが安心してワクワクできるようなアレンジである。