よりスポーティにリフレッシュ アルピーヌA110 Sへ試乗 1.8L 4気筒ターボは300psへ

公開 : 2022.04.23 08:25

素晴らしい特長がすべて受け継がれた

アルピーヌが取った手法は、盤石なもの。以前からの弱点といえた、インフォテインメント・システムをアップデートし、トリムグレードを論理的な3種類へ再編成。新しいボディ色が用意され、オプションの選択肢が増やされた。

新グレードは、ベースがノーマルのA110。さらにグランドツアラー志向のA110 GTと、スポーティなA110 Sという3段階の構成になった。空気抵抗を減らし高速域での安定性を高める、エアロダイナミクス・パッケージもオプションとして用意された。

アルピーヌA110 S(英国仕様)
アルピーヌA110 S(英国仕様)

今回試乗したのは、A110 Sで、英国価格は5万9995ポンド(約960万円)からとなる。試乗車には、先出のエアロダイナミクス・パッケージにミシュラン・パイロットスポーツ・カップ2、マイクロファイバー内装などがオプションで追加されていた。

写真とは少し異なるが、ブラックのルーフとフレイム・オレンジに塗られるツートーン・ボディカラーも、1650ポンド(約26万円)のオプション。結果として、価格は7万1689ポンド(約1147万円)に膨らんでいたが、雰囲気はとても良い。

A110 Sの触り心地の良いステアリングホイールを握り運転してみた印象は、驚くほどの新鮮味はないものだった。だがこれは、むしろプラス。登場以来の素晴らしい特長が、すべて受け継がれている。

ステアリングホイールやペダルなど、操作系の重み付けは完璧。シャシーバランスに長け、ボディサイズも丁度いい。ドライビングポジションには非の打ち所がなく、乗り降りもしやすい。

1.8L 4気筒ターボガソリンは300psに

A110 Sではエンジンの最高出力が300psとなり、標準より19%高められる。サスペンションは引き締まり、ハイグリップなミシュランタイヤが組み合わされ、確かにスポーティ度は高い。ちなみに、GTでも300psへ引き上げられている。

ルノー製の1.8L 4気筒ターボガソリン・エンジンは、5000rpmを超えると明確にパワーが高まる。アクセルペダルを戻すと、エグゾーストからパリパリとアフターファイヤーが響く。

アルピーヌA110 S(英国仕様)
アルピーヌA110 S(英国仕様)

コーナーへ侵入すると、通常のA110より明らかにボディロールが小さい。回答性はシャープさを増し、小気味よくイン側へ食らいついていく。そのかわり、しなやかで落ち着きのある乗り心地が、若干犠牲になっている。英国郊外の一般道では、顕著だった。

改良を受けたアルピーヌA110。その仕上がりは、間違いなくポジティブなものだ。サーキット走行を時々楽しみたいというドライバーに、このSはベストチョイスといえる。

同時にベースのA110は純粋さを保ち、GTは長距離移動に適した装備が与えられている。5年目のリフレッシュは、成功だったといえるだろう。

アルピーヌA110 S(英国仕様)のスペック

英国価格:5万9995ポンド(約960万円)
全長:4205mm
全幅:1800mm
全高:1250mm
最高速度:249km/h
0-100km/h加速:4.2秒
燃費:14.7-14.9km/L
CO2排出量:153-160g/km
車両重量:1119kg
パワートレイン: 直列4気筒1798ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:300ps/6300rpm
最大トルク:34.5kg-m/2400rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    AUTOCAR UK Editor-in-chief。オフィスの最も古株だが好奇心は誰にも負けない。クルマのテクノロジーは、私が長い時間を掛けて蓄積してきた常識をたったの数年で覆してくる。週が変われば、新たな驚きを与えてくれるのだから、1年後なんて全く読めない。だからこそ、いつまでもフレッシュでいられるのだろう。クルマも私も。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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