フォルクスワーゲン・ゴルフ・ブルーモーション・エステート
公開 : 2014.06.19 23:50 更新 : 2017.05.29 18:58
■どんなクルマ?
おそらくゴルフほど全世界で認知を得ているクルマはなかなかないのではないのだろかと思う。そしてそれがワゴンになれば、実用性に免じて全長が引き伸ばされ、途端に街の風景に溶け込むのようになるのである。
エステートはその高い実用性のみならず、経済性においても輝かしい実力を持つ。このモデル名に付け加えられる “ブルーモーション” という名前は、いわばエンジニアの血と汗が滲むような燃費向上やCO2排出削減のための研究の賜物なのである。
すでにゴルフに採用された改良済みのブルーモーション・テクノロジーはこちらのワゴンにも余すことなく投入され、このほかにもギアボックスは26kgの軽量化にも成功し、ギア比は延長され、フロント・グリルはフラット・パネルで覆われた。動力性能はハッチバックのゴルフとほとんど互角で、車重増とワゴン特有のエアロダイナミクスの影響を受けて燃費はわずかにハッチバックに劣る(ハッチバックは31.3km/ℓ、ワゴンは30.3km/ℓ)結果となる
■どんな感じ?
先代のモデルと比べると全長と全幅ともに延長され、全高は低くなった上で、更にこのブルーモーション・モデルは15mm車高が低められている。また、荷室容量が拡大された結果ボリュームのある605ℓとなり、フォード・フォーカス・エステート(こちらはたったの476ℓ)のそれを簡単に打ち負かす結果となったが、シビック・ツアラー(こちらはホンダのエンジニア曰く624ℓ)には一歩譲る。だけれども、ホンダの最もエコなディーゼル・エンジンでさえもフォルクスワーゲンのCO2排出量にまで抑え込むには至っていない。
車重軽減を目的にスペア・タイヤは備わっておらず、それゆえに本来スペア・タイヤが収まっている床下部分にも大きな荷室が確保されることになる。また後部の使い勝手にも優れ、さらに荷室を拡大するためには簡単に後部座席を倒すことができる。トノ・カバーも2種類のセッティングが用意され、使い手の心理をよくよく研究していることが伺える。
ゴルフ全てに言えることだが、明確で現代的だということに尽きる。車重の増加も感じさせないほど乗り心地が良く、ハッチバックのゴルフに引けを取るようなところは微塵もない。標準のエステートと比べて、エステートの馬力は増強されているため、低回転域にも力強さがあり素早い追い越しの際にも力不足を感じさせるような所はないのだが、ホンダやルノー日産の開発するエンジンに比べると、フォルクスワーゲンの1.6ℓディーゼルは少しばかり時代遅れな印象がある。また、われわれはアストラ・スポーツ・ツアラーに組み合わされるヴォグゾール製のアルミ・ブロック1.6ℓに特に感銘を受けているのも事実だ。
■「買い」か?
£22,165(384万円)という車両本体価格は決して安くはない。1.6ℓS TDIのたったの£18,325(318万円)という価格を考えれば、なおさら追加予算分の距離を走行するかどうかを考えてみる必要がありそうだ。
一方、1kmあたりのCO2排出量はブルーモーション版が87g/km、標準のTDI版が102g/kmとなり大きな差がつく結果となる。社用車としての使用を検討中ならば、距離と税金の観点からブルーモーションに軍配が上がることは言うまでもないだろう。あるいは、あなたが地球に優しいことがクルマを選ぶ最重要項目だと主張するならば迷わずにブルーモーションを買うことをお勧めする。
また、Sトリムのみしか選べないために衛星ナビゲーション・システムがオプション選択できないうえ、SEモデルのようなランバー・サポート付きのシートではないため、それらをオプションで選択するとさらに数万円の価格アップが必須であることも頭に入れておかなければならない。
(ゲイリー・ロード)
フォルクスワーゲン・ゴルフ・ブルーモーション・エステート
価格 | £22,165(384万円) |
最高速度 | 193km/h |
0-100km/h加速 | 11.0秒 |
燃費 | 30.3km/ℓ |
CO2排出量 | 87g/km |
乾燥重量 | 1395kg |
エンジン | 直列4気筒1598ccターボ・ディーゼル |
最高出力 | 110ps/3200-4000rpm |
最大トルク | 25.4kg-m/1500-3000rpm |
ギアボックス | 5速マニュアル |
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