最高のラグジュアリーSUV ランドローバー・レンジローバーへ試乗 6代目へ一新 後編
公開 : 2022.04.18 08:26
レンジローバーが新世代へモデルチェンジ。従来以上に能力の幅を広げたフラッグシップを、英国編集部が評価しました。
もくじ
ーロングよりショートの方が印象は良い
ー従来のレンジローバーらしいD350
ーホイールベースやパワートレインによる違い
ー不動の最高のラグジュアリーSUV
ーランドローバー・レンジローバー D350 HSE SWB(欧州仕様)のスペック
ロングよりショートの方が印象は良い
6代目へモデルチェンジを果たしたランドローバー・レンジローバー。最新版も、素晴らしい印象を裏切ることはない。ただし、スイートスポットは上級グレードより身近なところにある。
先代では、ショート・ホイールベース(SWB)版の方が仕上がりが良いと感じられた。実際、フェイスリフトを受けたベントレー・ベンテイガと比べても、勝っていたほど。それは、今回も当てはまるようだ。
初めに試乗したのは、ロング・ホイールベース(LWB)で3.0L直列6気筒ガソリンターボのP400。続いてLWBの特装仕様、ハイエンドなSVを運転した。タイヤサイズはいずれも、23インチの285/40で共通していた。
LWBのリアシートは、若干乗り心地で及ばない様子。基本的にはフラットで、姿勢制御にも優れ、衝撃吸収性にも長けている。だが、エアサスペンションの特性の1つではあるが、橋桁の継ぎ目やひどく傷んだ路面には、対処しきれない場面があるようだった。
フロントシート側はベストといえる。ステアリングホイールの操舵感は、素晴らしくスムーズで正確。ペダルなどの操作系の重み付けも、非の打ち所がない。車内で聞こえるノイズは極めて小さく、外界との隔離性にも唸らされる。
しかし、ステアリングホイールを切り向きを変えてみると、旋回時の動きや姿勢制御に不自然さが見え隠れする。操作に対して、素直にすべてが返ってくるとは限らない。
従来のレンジローバーらしいD350
複雑なシャシー技術が統合され、その働きは素晴らしいと思う。ほとんどのドライバーが気になることはないだろう。機能的には優秀だが、もう少し煮詰める余地はあるという程度だ。
新しいレンジローバーは、複数のパワートレインをラインナップし、ホイールベースは2種類。LWBであっても、ボディサイズはライバルモデルより控えめ。それらのことが、影響を与えているように思う。
SWBに乗ると、そのモヤモヤが晴れる。最初に4.4L V型8気筒ツインターボのP530を、続いて3.0L直列6気筒ディーゼルターボのD350を運転した。
P530のエンジンは、BMW由来ということで質感が秀でている。ディフェンダーが搭載するV8エンジンとは異なるユニットでもあり、英国製とは違った味わいがある。滑らかで爽快に吹け上がる、魅力的なユニットだ。
ただし、P530 SWBの英国価格は、オプション抜きで14万420ポンド(約2247万円)から。CO2の排出量も多く、購入したいと考えるドライバーは限定的だろう。
一方で、D350はよりマイルド。SWBのHSEグレードなら、10万8775ポンド(約1740万円)から選べる。CO2の排出量は205g/kmと、P530と比べると3割ほど少ない。
ディーゼルエンジンは車内からしっかり隔離され、車内は平穏。上級グレードと比べれば控えめに設えられたインテリアと相まって、より従来のレンジローバーらしい。筆者は、最も好感を抱いたグレードだった。英国の郊外にも似合いそうだ。