フィアット500e話題 開発担当者にきく 今風「ルパンのクルマ」の使命
公開 : 2022.04.12 05:45
日本でも話題のフィアット500e。イタリアの開発担当者へ搭載される技術を取材。詳細を解説します。
ルパンのクルマがBEVに
「ルパンのクルマがBEV(電気自動車)になった」
2022年4月上旬、夕方のテレビニュースが、フィアット新型「500e」について報じた。
このように、横浜で開催されたメディア向け試乗会に参加したメディア関係者が、新型500eに対して好意的な感想を持つ中、主催したステランティスジャパンによると「技術面でより詳しく知りたい」という声も多かったという。
そこで、日をあらためてオンラインで日本とイタリアを結び、新型500eの開発担当者と日本のメディアが直接情報交換する場が設けられた。
情報交換の中身に触れる前に、新型500eに関するこれまでの流れを紹介したい。
新型フィアット500eが世に出たのは、2020年3月。
本来はスイス・ジュネーブモーターショーでワールドプレミアの予定だったが、ちょうどその頃、新型コロナ感染症がグローバルで拡大しはじめたため、ジュネーブモーターショーは開催数日前に急遽、キャンセルとなってしまった。
そのため、新型500eはその時点ではまだめずらしかったオンラインでのデータ公開という形で世に出た。
その時点では、急激なBEVシフトのトレンドがはっきりと見えていなかったこともあり、新型500eについて自動車業界では「ポテンシャルは感じるものの、市場でどこまで受け入れられるかは未知数」といった雰囲気があった……。
ステランティスの挑戦
ところが、2020年後半から2021年にかけて、英国ジャガーが「2025年までに……」、スウェーデンのボルボは「2030年まで……」とBEV専業メーカーへの転換を宣言した。
さらに、欧州連合(EU)の執務機関である欧州委員会(EC)は2021年7月、地球環境に対するグリーンディール政策で、自動車に対する厳しい規制について公表した。
「2035年までに欧州域内で販売する新車100%が事実上、BEVまたはFCV(燃料電池車)」という方針だ。
これを受けるかのように、ダイムラー(現:メルセデス・ベンツ)は「市場環境が整えば、2020年代末までグローバルで新車100%をBEV(またはFCV)にする」と発表し、日系自動車メーカー各社は衝撃を受けた。
メルセデス・ベンツは自動車創世記から自動車業界の牽引役であり、その事業方針はグローバルに極めて大きな影響力を持つからだ。
さらに、興味深いのが、FCA(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)とPSA(プジョー・シトロエン)が融合して誕生したステランティスの将来に向けた事業方針だ。
合計14ものブランドによって、電動化やライフスタイルに合わせた商品展開を仕掛けてきた。
その中で、フィアットは2027年に欧州でBEV専業メーカーとなり、その中核として新型500eが果たす役割が大きい。