工場の余剰生産能力が自動車産業を脅かす理由 欧州工場の稼働率低下

公開 : 2022.04.13 06:05

安い電動モデルの必要性もメーカーを圧迫

英国からさらに工場が失われる可能性はどれほどあるだろうか?自動車メーカーにとっての問題は、EVの製造に切り替えても、英国で利益を上げられるという確信が持てるかどうかだ。ジャガーランドローバーのように平均購入価格が高い企業にとって、その答えはおそらく「イエス」だが、トヨタやミニのような企業にとっては難しいところだろう。

日産はサンダーランド工場で、EVのリーフに代わる電動SUVを、年間10万台というはるかに大きい規模で製造しようとしている。一方、ミニは、次期型EVはオックスフォードではなく、中国で製造されると述べている。

EVの販売価格の高さは、普及が進まない一因となっている。コストを削減しようとすれば、生産体制の見直しは避けられない。
EVの販売価格の高さは、普及が進まない一因となっている。コストを削減しようとすれば、生産体制の見直しは避けられない。

トヨタもダービーシャー州のバーナストン工場について、ハイブリッド車のカローラの製造からEVに切り替えるかどうか、重要な判断を迫られている。

危険なのは、大衆向けEVのコストダウンが急務となっていることで、英国から自動車製造の大部分が追い出される可能性があることだ。このような事態を防ぐには、バッテリー工場を数か所設置する以上のことが必要になる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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