FRの2シリーズ登場を喜ぶ BMW M240i x ポルシェ718ケイマン x AMG CLA 45 3台乗り比べ 中編

公開 : 2022.04.23 09:46  更新 : 2022.08.08 07:12

何かが宿るようなステアリングホイール

サウンドは、合成音が強め。エンジン自体の音は少しドライバーから遠い位置にある。それでも、この価格帯でこれほどリッチな重奏を楽しませてくれるモデルは、他にないだろう。4気筒の718ケイマンにも、備わらない。

AMG CLA 45Sと718ケイマンは、M240i xドライブにはない長所を備え、短所もある。より直接的な比較対象になり得る718ケイマンには、及ばない部分も少なくないが、長所として勝るところは明らかに強い。

ポルシェ718ケイマン PDK(英国仕様)
ポルシェ718ケイマン PDK(英国仕様)

2.0L水平対向4気筒エンジンの最高出力は300psで、サウンドはBMWの直列6気筒と比べてしまうと実務的。アイドリングは重苦しそうだし、吹け上がりも鋭いとまではいえない。

7速デュアルクラッチAT(PDK)のギア比はロングすぎる。ボディが軽いとしても、パワーとトルクの山を活かすことが簡単とはいえない。

今回の718ケイマンには、シンプルなGTスポーツ・ステアリングホイールが備わっていて、握り心地は良好。一方でノーマルのシートは小ぶりで、M240i xドライブのMスポーツ・シートと比べるとサポート性ももの足りない。

ロードノイズは大きい。車載テクノロジーや運転席からの視界も、新しい2シリーズ・クーペには届いていない。

ところが、アクセルペダルに力を込めて発進させれば、それらの印象は一気に薄れていく。ステアリングホイールは、BMWよりはるかに豊かな情報をドライバーへ伝えてくる。まるで何かが宿っているかのように。

この続きは後編にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 撮影

    リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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