ぶっ飛んだコンセプトカー 54選 前編 才能を持て余した技術者の遊び?
公開 : 2022.04.17 06:05
エンジニアやデザイナーが思い描く「クルマの未来」を覗いてみると、稀に目を疑うようなデザインに遭遇します。
もくじ
ー刺激的で謎めいたコンセプトたち
ーベルトーネBAT3/5/7(1953年)
ーギア・セレーネ(1960年)
ーギア・セレーネ・セカンダ(1962年)
ーベルトーネ・カラボ(1968年)
ーシボレー・アストロIII(1969年)
ーベルトーネ・ストラトス・ゼロ(1970年)
ーピニンファリーナ・モデューロ(1970年)
ーマツダEX-005(1970年)
ー童夢・零(1978年)
ーギア・アクション(1978年)
ーアストン マーティン・ブルドッグ(1979年)
ートヨタCX-80(1979年)
ーシトロエン・カリン(1980年)
ーIADエイリアン(1986年)
ーイタルデザイン・マキモト(1986年)
ープジョー・プロキシマ(1986年)
ークライスラー・ボイジャーIII(1990年)
ーイタルデザイン・コロンブス(1992年)
ールノー・ズーム(1992年)
ー三菱ESR(1993年)
ールノー・ラクーン(1993年)
ートヨタ・ラウム(1993年)
ーダッジ・ネオン・エクスプレッソ(1994年)
ーフォード・インディゴ(1996年)
ーイタルデザイン・フォーミュラ4(1996年)
ーユーリエ・プレグンタ(1998年)
刺激的で謎めいたコンセプトたち
コンセプトカーの本質は、デザインと技術の限界に挑戦することである。しかし、自動車メーカーやデザイン会社は、時に踏みとどまるべきタイミングを見失うことがある。
今回紹介するコンセプトカーは、あまりにも奇想天外で、どんな形であれ道路に出ることはないだろうと思われたものだ。
中には伝説となったものもあるが、ほとんどはすぐに忘れ去られてしまった(彼らにとっては忘れられることが最善だろう)。では、見ていこう。
ベルトーネBAT3/5/7(1953年)
ベルトーネは1953年から1955年にかけて、3つのBATコンセプトを生み出した。BATは「ベルリネッタ・アエロダディナミカ・テクニカ(空力技術クーペ)」の略で、その名の通り、空力デザインの可能性を探るべく開発された。
第二次世界大戦前の古い設計が道路に溢れていた時代、3台のマシンはまるで火星から来た宇宙船のように見えたに違いない。写真:BAT 3
ギア・セレーネ(1960年)
ギア(Ghia)は、「10年以内に誰もが乗るようになるクルマ」と謳っていたが、ありがたいことに実現しなかった。トム・ジャーダ(1934~2017年)がデザインしたもので、リアにエンジンを搭載し、前後どちらに進むか分かりづらい形状となっている。この写真ではカメラの方を向いているように見えるが、実際には左を向いている。
ギア・セレーネ・セカンダ(1962年)
セレーネはその奇抜さ故に強烈な印象を残したが、その結果、トム・ジャーダは続編の制作を任されることになった。テレビアニメ「宇宙家族ジェットソン」に登場するようなセレーネ・セカンダは、先代同様、後ろ向きの座席を備えていた。
ベルトーネ・カラボ(1968年)
レース車両のアルファ・ロメオ33をベースに、V8を搭載した偉大なるコンセプトカー。カラーガラスとバタフライドアを採用し、空力性能も追求している。
シボレー・アストロIII(1969年)
白紙からクルマをデザインするのであれば、タイヤの配置を再考するのは当然のことだろう。しかし、タイヤ同士を近くに置いてはいけない。GMのデザイナーは、アストロIIIの前輪2つを隣り合わせに配置したため、安定性が大きく損なわれた三輪車のように見えてしまったのだ。こう見えて四輪車である。
ベルトーネ・ストラトス・ゼロ(1970年)
自動車デザインにおける1つのターニングポイントとなったこの作品は、実用性の面で一歩踏み出せなかったが、限界を押し広げたことは間違いない。ランチアの同名車やアンディ・サンダースのレプリカに繋がったほか、マイケル・ジャクソン主演の映画「ムーンウォーカー」に登場したのもこのクルマだ。