ぶっ飛んだコンセプトカー 54選 前編 才能を持て余した技術者の遊び?

公開 : 2022.04.17 06:05

イタルデザイン・マキモト(1986年)

「マキモト」とは日本人の名前ではなく、自動車とバイクを合体させた「MacchiMoto」という造語である。コンセプトはその名の通りで、発展途上国で最大9人が安価に移動することを目的としており、快適性や安全性はあまり重視されていなかったようだ。

イタルデザイン・マキモト(1986年)
イタルデザイン・マキモト(1986年)

プジョー・プロキシマ(1986年)

1986年当時、最も速く、最もグラマラスなプジョーは、ターボ四輪駆動の205だった。同時期には309、504、604が生産されていたが、ツインターボ2.8L V6を積むプロキシマは最高出力600psを発揮し、パートタイム四輪駆動を備えているなど、気前のいいクルマであった。

プジョー・プロキシマ(1986年)
プジョー・プロキシマ(1986年)

クライスラー・ボイジャーIII(1990年)

現実離れしたアイデアだ。クライスラーの設計チームは、3人乗りの小型車にリアポッドを装着することで、8人乗りのミニバンとなるボイジャーIIIを開発したのだ。なんて便利なんだろう。

クライスラー・ボイジャーIII(1990年)
クライスラー・ボイジャーIII(1990年)

イタルデザイン・コロンブス(1992年)

V12エンジンを搭載した豪華なミニバン、というと聞こえは良いが、そのコンセプトをジェット機が衝突したようなボディで包んでしまうと、途端に見向きもされなくなる……というのが、このクルマの特徴だ。

イタルデザイン・コロンブス(1992年)
イタルデザイン・コロンブス(1992年)

ルノー・ズーム(1992年)

都市部向きの小型車はおおむね、複雑な構造を極力排除して実現した低価格が魅力であることが多い。だが、ルノーは何か勘違いをしたようだ。ルノーはマトラ社と共同で、複雑なリアサスペンションを備え、状況に応じてホイールベースを伸縮できる、おそらく史上最も複雑な小型車を開発したのだ。これぞまさに、世界が必要としていたもの……なのだろうか。

ルノー・ズーム(1992年)
ルノー・ズーム(1992年)

三菱ESR(1993年)

三菱の「エコロジカル・サイエンス・リサーチ(ESR)」というコンセプトは、環境技術のテストベッドであった。しかし、なぜこんな醜いデザインが必要なのだろう?正面から見ると悪くないのだが、別の角度から見ると、悲劇的な混乱に見舞われる。当初はワンボックスのデザインだったが、土壇場になってノッチバックに切り替えたらしい。

三菱ESR(1993年)
三菱ESR(1993年)

ルノー・ラクーン(1993年)

ヘリコプターからローターブレードを取り外し、想像を絶する複雑なサスペンションシステムと車輪を取り付けたらどうなるか……ルノー・ラクーンは、誰も抱いたことのない疑問に応えるものだった。

ルノー・ラクーン(1993年)
ルノー・ラクーン(1993年)

トヨタ・ラウム(1993年)

1997年の初代ラウムより先に、同じ名(RAUM)を冠したコンセプトカーが1993年に公開されている。トヨタは「次世代ファミリーカーの実用的提案」と銘打ったが、残念なことにこの予想は的外れとなった。

1990年代には、プロポーションの悪い、印象に残りづらいスタイルのクルマがたくさんあったが、ラウムもその1つと言えるだろう。とんでもなく不釣り合いなウエストラインのせいで、車輪のついた金魚鉢のようにも見える。

トヨタ・ラウム(1993年)
トヨタ・ラウム(1993年)

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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