シトロエンC1 エアスケープ・フィール82VTi

公開 : 2014.06.21 23:45  更新 : 2021.03.05 21:44

■どんなクルマ?

プジョートヨタの兄弟車と同じく、チェコ共和国にある工場で生産されるシトロエンC1は、2005年の発売以来9年間で760,000台が購入者の手元に届けられた。

その間、幾度かフェイスリフトが施されてきたのが、今回のモデル・チェンジでは完全なる新設計のボデイに置き換えられ、メカニカルな要素もアップデートされた。すでに馴染み深い68psを発揮するトヨタ製1.0ℓエンジンがラインナップに加わった他に、パフォーマンスの向上が図られた82ps版のPSA(プジョー・シトロエン・グループ)製1.2ℓ3気筒NAエンジンが用意される。

3ドアと5ドアのどちらかを選べる他に、今回からスイッチ一つでファブリック・ルーフを後端まで開け放つことの出来るエアスケープと呼ばれるモデルが加わった。上位グレードには、7インチのタッチ・スクリーンやオート・エアコンなどの豪華な装備が備わっており、グレード名はベース・モデルから順にタッチ、フィール、そしてフレアの3ラインとなる。1.0ℓの3ドア・モデルのタッチが一番安価な£8,245(143万円)から、そして一番高価なモデルが£12,000(208万円)となる。さらに付加価値を高めたC1エアスケープ・フィールと呼ばれるモデルは来月初めに英国のディーラーにて £10,945(190万円)のプライス・タグを掲げて並べられる予定だ。

■どんな感じ?

シャシーは間もなく引退を迎える先代のモデルと大きく変わらないが、ツイスト-ビーム・リア・アクスルが組み合わされることによって先代比-4kgの軽量化に成功した。またスプリングとダンパーのセッティングが見直され、太めのスタビライザーが奢られる。

坂道発進をアシストするシステムが追加採用され、14インチと15インチのホイールにはエコ・タイヤが組み合わされる。また先代同様の高い複合サイクル燃費と好意的なCO2排出量を達成しており、1.0ℓのエンジンでは26.3km/ℓと88g/km、また1.2ℓでは23.3km/ℓと99g/kmとなる。

コンパクトなボディ・サイズのおかげで、すばしっこさとコーナリングでの安定感のあるアンダーステアも先代同様にレベルが高い。パワーとトルクが増強された新しいエンジンは非常に柔軟性があり、決して今まで到達することのなかった速度でもサスペンションの改善を手に取るように感じ取ることができる。また、ごつごつといた路面でも非常に落ち着き払っているうえに、上下方向のピッチングのいなしは先代よりも優れる。ただしもう少しハンドリングに面白みがあれば、ライバルよりも幾分目立つボディ・ロールも気にならなかったかもしれない。

ノイズに関する対策はあまり得意分野とは言えない。特に、ファブリック・ルーフは外部の音を容易く侵入させてしまうし、ボディ・デザインも風切り音を発生させやすい。またパワー・トレインは低速において洗練に欠けるし、発進や停止を繰返すたびにスタート・ストップ・システムの影響で小刻みなバイブレーションを感じることがあった。さらにパワー供給にも粗があり、このクラスではフォルクスワーゲン・アップやヒュンダイi10の方に軍配が上がる。

新しいボディ・デザインは悪くないのだが、インテリアのダッシュボードやシートは大げさで纏まりに欠ける。また標準装備には満足できるがカチコチのプラスチックには目を覆いたくなる。

■「買い」か?

全体的にアップデートされ、経済性においても大きな競争力をもつが、他の競合モデルに比べると、驚くべく改善は見当たらない。幸運なことに、装備に対する価格には満足することができ、あと数年の間はこれを上回るクルマはなかなか出てこないだろう。このクルマを買うと決めたなら、フォルクスワーゲン・アップやヒュンダイi10を見に行くことはお勧めしない。これら2台は、このクラスのトップであることに変わりないのだから。

(スティーブ・クロプリー)

シトロエンC1 エアスケープ・フィール82VTi

価格 £10,945(190万円)
最高速度 170km/h
0-100km/h加速 11.0秒
燃費 23.3km/ℓ
CO2排出量 99g/km
乾燥重量 855kg
エンジン 直列3気筒1199cc
最高出力 82ps/5750rpm
最大トルク 11.9kg-m/2750rpm
ギアボックス 5速マニュアル

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