アキュラRDX AWD

公開 : 2014.06.24 23:30  更新 : 2017.05.29 19:59

■どんなクルマ?

ホンダアキュラ・ブランドで販売するコンパクトSUV。ラグジュアリー・ブランドのアキュラらしく、SUVとはいえ都会的でスタイリッシュな外観と、スポーティ&ラグジュアリーな各種装備を特徴とする。初代モデルの登場は2006年で、ホンダCR-Vとプラットフォームを共有しつつも内外装はすべて専用設計、エンジンもRDX専用となる2.3ℓVTECターボを搭載していた。

現行モデルは2012年にフルモデルチェンジを受けた二世代目。初代モデルより顧客年齢層を大人向けに拡大すべく、ボディの大型化や高級感あるインテリアを採用。エンジンは全車3.5ℓのV型6気筒へと変更され、ロングツーリングも快適に行えるよう、よりオトナのSUVへと生まれ変わった。

■どんな感じ?

試乗する前にぐるっと車体のまわりを一周してみる。ボディサイズは全長4666×全幅1875×全高1631mmで、3.5ℓV6を搭載するにあたり、ホイールベース&トレッドともに拡大されているけれど、感覚的にはちょうど一回り大きくなったかな、というくらい。先代とは違ってシャシーの共有など公式発表はないけれど、「CR-Vの高級版」という全体のイメージは変わらない。

外観デザインでは全体的な抑揚が抑えられ、より都会的な印象が強まった。フロントマスクは定番のアキュラ・フェイスで、まるでILXや新型TLXの車高を上げたかのよう。タイヤサイズは先代同様の18インチだが、ボディが大型化されたために独特の”踏ん張り感”は薄まった。あらゆる面において、全体的にスマートになった印象だ。

駆動方式はAWDとFFが用意されており、今回試乗したのはAWDモデル。3.5ℓのSOHC V6エンジンは決して驚くようなパワーやトルクではないものの、スムーズな回転上昇が印象的。エンジンがあまりにもスムーズにまわるので、実際の速度よりスピードが出ているように思うほど。

とはいえ実際の加速力も申し分なく、フリーウェイへの合流や追い越し時などの中間加速も力不足は感じない。6速ATとのマッチングもすこぶる良く、スロットルを大きく踏み込んでもキックダウンのショックを感じさせずにスムーズに加速していく。ステアリング背後には、アキュラ=ホンダに共通する右アップ・左ダウンのパドルシフトが備わっており、それを駆使して走るとスポーツセダンのように軽快なフィーリングが楽しめる。

もちろんSUVとしての資質も高く、後席の居住性やラゲッジルームは余裕たっぷり。残念ながら電動ではないけれど、後席シートは荷室からもワンタッチで折りたたむことができるなど、使い勝手にも優れている。またテールゲートは低い位置から大きく開くので、大型スーツケースの積載もカンタン。それでいて、通常のSUVと比較すると圧倒的に若々しく高級感のある、アメリカ人の褒め言葉でいう「クール」な佇まい。まさにオールラウンドに使えるクルマだ。

■「買い」か?

日本におけるSUVブームは、ここのところ少し落ちついた感がある。いっぽうでアメリカおよびカナダの北米市場では今なお拡大を続けているビッグマーケットであり、日本におけるミニバン市場に近いものがあるかもしれない。

ボディの大小や2列/3列シートといった乗員の数、またスポーティやラグジュアリーなどのテイストを強めたモデルなど、じつに多くの車種が発売されているなかで、スポーティかつラグジュアリーなSUVとしてRDXは独特のポジションを確立した。

しかしながら気筒休止システムやアイドリングストップ機構などを持たず、常に3.5ℓV6が全力稼働して約1.8トンの車体を走らせるRDXは、ややオールドスタイルな印象は否めない。クルマのコンセプトは良いんだけども、その方法論は……。いつのまにか時代に追い越されてしまったのかも。

2010年代に入り、欧州メーカーを中心としたダウンサイジング・ターボの流れは急速に広まった。それは乗用車やスポーツカーだけでなく、もっとも遠い場所にあると思われたアメリカのSUV市場にも、フォードのECO BOOSTという形で浸透している。これまで大排気量V8が定番だったフォードのピックアップ、F150も、現在もっとも売れているのは3.5ℓV6のターボモデルなのだ。

そう考えると、初代RDXが採用していた2.3ℓ4気筒ターボは、やや時代を先取りしすぎていたのかもしれない。初代RDXの用いた手法をそのまま発展させ、現行モデルの使い勝手や運動性能が組み合わされていればSUV市場のマーケットリーダーにもなれたのに、と考えてしまう。まもなく次期型プロトタイプに関する話も聞こえてくるころだが、はたしてコンセプトはどう変化するのか注目したい。

(佐橋健太郎)

アキュラRDX AWD

価格 £36,295(369万円)
最高速度 NA
0-100km/h加速 NA
燃費 9.4km/ℓ
CO2排出量 NA
乾燥重量 1741kg
エンジン V型6気筒3.5ℓ
最高出力 273ps/6200rpm
最大トルク 34.7kg-m/5000rpm
ギアボックス 6速オートマティック

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