日産 新たなスポーツモデルの投入「検討中」 鍵を握るは固体電池 欧州幹部が語る

公開 : 2022.04.15 06:05

マイクラ後継はEVクロスオーバーに

一方、日産はより小型で、より手頃な価格のクルマにこだわり続けている。フランソワ・ベイリーは、「これは非常に重要なことです。欧州では、小型車は重要なセグメントであり、若い顧客がEVに乗り換えることで、新しい世代を育成することが不可欠なんです」と話す。

しかし、現在欧州で販売されているマイクラの後継車は、従来のハッチバックではない。CMF-BEVプラットフォームをベースにした、EVクロスオーバーになる予定だ。

マイクラ後継EVのティーザー画像
マイクラ後継EVのティーザー画像

「EV市場は、良くも悪くも、明らかにクロスオーバーに移行しています。スタンス、安全性、荷室の広さなどが理由です。クロスオーバーは重要な戦略軸なのです」とベイリーは述べている。

なぜ今になってEVを? 10年先を見据えた動き

英AUTOCAR編集部は、日産AMIEOマネジメントコミッティ議長のギヨーム・カルティエにインタビューを行った。

――なぜ日産は今になって2台目のEVを発売するのですか?

「日産は2030年までのビジョンを持っていますが、これは日産にとって新しいことです。最近まで、わたし達はMTP(中期計画)、つまり3年から5年のサイクルで行動することが多かったのです。今は10年先を見据えています」

日産AMIEOマネジメントコミッティ議長のギヨーム・カルティエ
日産AMIEOマネジメントコミッティ議長のギヨーム・カルティエ

「2つ目のポイントは、ビジョンだけでなく、電動化に対する明確な見解を持っていることです。現在では、EVに投資するか、EVとICEに投資するか、決めなければなりません。日産は、ユーロ7(非ハイブリッド車)には投資しません」

――ルノー・日産・三菱アライアンスは、同じプラットフォームでEVをどのように差別化するのでしょうか?

「プラットフォームを共有する同じセグメントのクルマをいくつか見ても、設計方法がまったく違うので、全くの別物であることがわかります。アライアンスには、必ずしも目に見えるものではありませんが、本当に重要なものがたくさんあるのです」

――半導体不足やウクライナ戦争の影響を日産はどう受けていますか?

「以前より良くなっています。そのため、(生産を)劇的に増やす予定ですが、今年は世界的にも欧州でも、需要はまだ当社が望むレベルにはありません。前進は微々たるものです。でも、わたしは楽観的です。2022年は、2021年よりも確実に良くなると思います」

「ウクライナでは、従業員を大切にしており、まず彼らの安全を確保することを第一に考えています。(部品供給について)検討は行いましたが、ウクライナには大きな調達先はありません」

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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