年内にディーラーで売る? 日産+イトーキ モバイルオフィスカー「ム―ウ」が変える業界の常識
公開 : 2022.04.16 05:45
量産前提のプロジェクト
今回、その存在が初めて明らかになったムーウだが、単なるコンセプトモデルならば、自動車業界内で、さほど話題になるとは思えない。
ところが、前述のように「ムーウは日産の新車販売店で2022年中の販売を検討中」というが大きな注目点である。
販売方法について、現時点で未公開だが、例えばNV200バネットのカタログモデルとして、またはディーラーオプションとして設定が予想される。
車両の製造方法は、日産の車両組み立て工場で完成させる、いわゆる「ライン装着」ではなく、新車販売店が部品として取り寄せ、販売店の社内工場や関連施設で組付けることが考えられる。
これが実現すれば、全国のトヨタ販売店数社がキャンピングカー大手のトイファクトリー(本社:岐阜県可児市)と連携して展開している、ハイエース向けのHACO×HACOに近い考え方になるだろう。
ムーウの場合、日産本社が主導してNV200バネットをカスタマイズする商品企画をしているが、一方のトヨタの場合はトヨタ本社は関与しておらず、あくまでもトヨタ販売店とトイファクトリーとの直接契約によるものだ。
こうしたトヨタの違いを、日産として今後、さらに広げていく可能性は十分にありそうだ……。
常識変える日産の挑戦
商用バンの王者であるハイエースでは、一部の新車販売店が、自社でリア荷室を改良したライトキャンパー仕様を販売したり、前述のHACO×HACOの個別販売や車両に組付けた状態での販売をおこなっているものの、新車カタログにはリア荷室の改良仕様はない。
一方、日産は現在、商用車「キャラバン」ではリアの荷室を改良した「トラスポーター」と「マルチベッド」という2つの仕様がカタログモデル扱いとなっている。
さらに、東京オートサロン2022や、ジャパンキャンピングカーショー2022で、リア荷室をまるで自宅のオシャレな部屋にような空間に仕立てた「マイルーム・コンセプト」を発表。
日産関係者は「新車販売店での販売を検討している」と話しており、ムーウを含めたカタログモデルになる可能性がある。
自動車メーカーはこれまで、車両の法規制はもとより、メーカー社内での規定を順守し、商用バンに対する正式カスタマイズに対してコンサバな姿勢をとってきた。
そうした商用バン業界の常識に対して、日産は今、マイルーム・コンセプトとムーウを擁した大きなチャレンジに挑んでいるといえるだろう。
ムーウの実車は、ドイツ発オフィス家具イベント「オルガテック東京2022」(2022年4月26日~28日、東京ビッグサイト)で世界初公開される。