長所も短所もディフェンダーのまま ツイステッドT90 EVへ試乗 大胆にエレクトロモッド
公開 : 2022.05.01 08:25
印象は懐かしいディフェンダーのまま
シフトチェンジは不要で、運転自体は少し楽になっている。それでもステアリングホイールを回すと重いし、レシオはスロー。ショート・ホイールベースの90でも、最小回転直径は期待ほど小さくない。
低速域での乗り心地は、落ち着きがなくラフ。ツイステッド社が防音性や気密性を高めているものの、高速域では風切り音とロードノイズが盛大に車内へ響く。どれもが、懐かしいディフェンダーのままだ。
内燃エンジンがなくなったことで、ノイズやバイブレーションの存在感が強くなっている。洗練されたわけではない。以前より気になる、と思う人もいるはず。
駆動用モーターの最大トルクは122.1kg-mもあるそうだが、加速力はその数字から想像するほど鋭くはない。オリジナルのディフェンダーの駆動系が、そんなに太いトルクへ耐えられるとも考えにくいが。
エコ・モード時は、トルクの発生が穏やかになる。滑らかな加速を与えてくれる。
スポーツ・モードを選ぶと、より積極的に速度が増す。100km/h前後まではホットハッチ並みに勢いが良い。ただし、駆動系から不自然な振動が生じる場面があるようだ。アクセルの反応も、少々過敏だと感じた。
操縦性には曖昧さが残っている。従来よりまとまりはあるものの、現代のSUVに匹敵するほどではない。速度域の高いコーナーでは、充分な注意が必要。先代のディフェンダーから、明確に動的能力が引き上げられたわけではない。
不調和もあるが、予想以上の好感度
主要な自動車メーカーが次々に純EVを開発しているが、ツイステッドT90のように、メカニズム的に簡素なクルマを販売することはないだろう。20世紀と21世紀が共存し、不調和を感じるものの、予想以上に好感も抱いた。
興味を抱いた読者もいらっしゃると思う。ただし、ツイステッドT90の英国価格は27万ポンド(約4320万円)から。多くの人にとって、現実的な金額ではない。
ちなみに同社は、10万ポンド(約1600万円)以下で、持ち込まれたベース車の多くを純EVへエレクトロモッドしてくれるという。立派な新車の純EVが、買える値段ではあるけれど。
ツイステッドT90は、しっかりディフェンダー 90だった。長所も短所も含めて。このクルマが正解かどうかは、判断が難しいところでもある。
ツイステッドT90 EVディフェンダー(英国仕様)のスペック
英国価格:27万ポンド(約4320万円)
全長:3886mm(標準ディフェンダー90)
全幅:1778mm(標準ディフェンダー90)
全高:2032mm(標準ディフェンダー90)
最高速度:160km/h(予想)
0-100km/h加速:8.0秒
航続距離:225km
電費:3.5km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:2250kg(予想)
パワートレイン:AC久磁石同期モーター
バッテリー:61kWhリチウムイオン
最高出力:271ps
最大トルク:122.1kg-m
ギアボックス:−