AMG最強で初のPHEV メルセデスAMG GT 63 S Eパフォーマンスへ試乗 トルク149.3kg-m 前編
公開 : 2022.04.25 08:25 更新 : 2022.08.08 07:11
新次元といえる領域へ高められた動力性能。AMGとして最強で初のPHEVを、英国編集部が評価しました。
リアモーター追加で843psと149.3kg-m
いよいよメルセデスAMGにも電動化の波がやってきた。今回試乗したGT 63 S Eパフォーマンスは、AMGの量産モデルとして初めてのプラグイン・ハイブリッド(PHEV)。加えて、これまでで最もパワフルなAMGでもある。
ボディスタイルは、写真でおわかりの通り2018年に販売が始まったGT 4ドアクーペ。4.0L V8ツインターボエンジンのほかに、リアアクスル側に2速ATと一体で、駆動用モーターが搭載されている。
V8エンジンのパワーは、AMGがスピードシフトと呼ぶ9速マルチクラッチ(MCT)ATを介し、四輪を駆動。リアタイヤは、エンジンとモーター、両方のパワーを受け持つことになる。
ただし、AMGの最高技術責任者を務めるヨッヒェン・ハーマン氏によれば、近いうちにもっと凄いものが発表されるという。こちらも気になるところだが、本題を続けよう。
駆動用モーターは電圧400Vで稼働し、最高出力は203ps。639psを発揮するガソリンエンジンが組み合わさり、システム合計での最高出力は実に843psに達する。AMG GT ブラックシリーズより113psも勝る。
ちなみにライバルと比較してみると、PHEVのポルシェ・パナメーラ・ターボS Eハイブリッドの最高出力は、システム合計で700ps。内燃エンジンのみのBMW M5 コンペティションは624psだから、いかにパワフルなのかがわかる。
さらに、GT 63 S Eパフォーマンスで印象的なのが最大トルク。駆動用モーターの力が加わり、91.4kg-mから一気に149.3kg-mへと高められている。
0-100km/h加速2.9秒、最高速度315km/h
AMGダイナミック・セレクトという名のドライブモードには、スリッパリー(滑りやすい)、エレクトリック、コンフォート、スポーツ、スポーツ・プラス、レースという6段階が用意された。
サスペンションやエンジンなどをドライバーが個別に調整できる、インディビジュアル・モードもある。
駆動用バッテリーは、駆動用モーターを覆うように搭載される。約560セルで構成され、容量は6.1kWh。液冷システムが組まれており、コンディションを保つという。
この駆動用バッテリーは、今のところGT 63 S Eパフォーマンスのみに採用されている。メルセデス・ベンツがラインナップする従来のPHEVより、エネルギー密度は2倍もあるそうだ。
充電ポートはリアバンパーの右側。AC充電器で、最大3.6kWのスピードで充電できる。バッテリー容量が小さいということで、DCの急速充電器には対応していない。
PHEVのシステムが加わり、車重は通常のAMG GT 4ドアクーペから大幅に増え、2380kgに達した。それでも、0-100km/h加速を2.9秒でこなし、315km/hの最高速度を誇る。
駆動用バッテリーが満充電の状態で、モーターだけで走れる距離は最長12kmと短い。そのため、CO2の排出量はPHEVとしては多めの180g/km。WLTP値での燃費は、12.7km/Lがうたわれる。
「主に、パフォーマンスへ焦点が向けられています。電気で走る能力は与えていますが、航続距離が優先事項ではありませんでした」。とハーマンは説明する。