ソーセージに洗濯機、ミサイルも? 自動車メーカーが作ったクルマ以外のモノ 32選

公開 : 2022.04.24 06:05

GM:月面移動車

NASAのアポロ15号、16号、17号ミッションで使用された月面車(LRV)の設計・製作に、GMは大きく関わっている。同社の防衛研究所に勤務していたフェレンツ・パブリックス(1928年生まれ)によると、GMはシャシー、車輪、サスペンション、ステアリング、駆動系、制御システム、ディスプレイを開発し、残る電力システム、ナビゲーション、通信、月着陸船との統合はボーイング社が担当したという。

また、月面車を折りたたみ式にして、月への輸送中にごく限られたスペースに収納できるようにすることを思いついたのもパブリックスであるとされている。現在、3台の月面車が月に残されているが、バッテリーの充電が必要なようだ。

GMの月面移動車(LRV)
GMの月面移動車(LRV)

GM:冷蔵庫

20世紀初頭、食品を新鮮に保つ唯一の方法は、アイスボックスに入れることだった。しかし、氷を毎日交換しなければならないのが難点だった。そこで、氷を冷やす冷凍装置が開発されたが、さらに一歩進んで、1915年にアルフレッド・メローズ(1879~1960年)が電気冷蔵庫を開発。翌年にはガーディアン・フリジレーター社を設立して製造を開始した。

ガーディアン社は、当初は大きな成功を収められなかったが、1919年にGMのウィリアム・デュラント社長(1861~1947年)に買収されたことで、同社は救われた。ビジネスが軌道に乗り、社名を変更したフリッジデール社は、市場をリードする存在となった。

1919年当時のフリッジデール社の冷蔵庫
1919年当時のフリッジデール社の冷蔵庫

GM:砲弾

オールズモビルは第二次世界大戦中、驚異的な数の砲弾を製造した。ジャーンズビル工場、カンザスシティ工場、ランシング工場で生産されたその総数は、75mmから155mmまで、4500万発以上と言われている。

GMが製造した砲弾。「ヒトラーへのイースターエッグ」「ハッピー・イースター、アドルフ」と書かれている。
GMが製造した砲弾。「ヒトラーへのイースターエッグ」「ハッピー・イースター、アドルフ」と書かれている。

GM:ソノブイ

GM傘下のヒューズ社がマグナボックス・エレクトロニック・システムズ社を買収し、航空宇宙・防衛事業をレイセオン社に売却するまでの短い期間に、ソノブイという装置を製造していた。ソノブイは、水中の音(自らが発した音の反響音)を感知して、船や飛行機、あるいは人工衛星に中継する装置である。

敵の潜水艦の動きを追跡するなど、軍事用途でも知られている。

GM:ソノブイ
GM:ソノブイ

GM:戦車

第二次世界大戦やその後の紛争で使用された戦車は、大西洋の両岸にあるGM傘下のブランドで製造されている。例えばビュイックは「M18ヘルキャット」を設計・製造したが、これは敵戦車を破壊するための駆逐戦車であった。

キャデラック・ゲージ部門は、GMの所有下で数十年にわたり戦車・装甲車を生産していたが、テキストロン社に買収された。現在は、同社のマリン&ランド・システムズとして知られている。英国では、ヴォグゾールがルートン工場での自動車生産をすべて停止し、チャーチル戦車数千台の製造に専念した。

ビュイックが製造したM18ヘルキャット駆逐戦車
ビュイックが製造したM18ヘルキャット駆逐戦車

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

おすすめ記事

 

人気記事