次期ホンダe:Ny1 英国市場で「不可欠」なモデルに ゼロ・エミッション目標に重要な一歩

公開 : 2022.04.25 06:05

欧州EV市場は大きく成長しつつあります。ホンダは波に乗り遅れたのか、それとも……。現地幹部に聞きました。

e:Ny1は「良い時期」に登場した

来年欧州で発売されるホンダの新型EV「e:Ny1」は、英国政府が掲げるゼロ・エミッション目標を達成する上で非常に重要なモデルである。

新型e:Ny1(生産開始時には別の名前になる見込み)は、ホンダeに続くEV専用モデルで、HR-V(日本名:ヴェゼル)と同程度のサイズを持つが、ベースとなるプラットフォームは全く別のものだ。

ホンダe:Ny1プロトタイプ
ホンダe:Ny1プロトタイプ

2023年の発売について、ホンダの英国部門責任者であるレベッカ・アダムソンは、次のように語っている。

「e:Ny1は、当社が販売する最初の主流EV製品です。ホンダeは素晴らしいショーピースでしたが、このクルマはBEVへの志を新たな段階に引き上げるものです。より長い航続距離と、より使いやすいセットアップを提供し、当社の目標を達成するために不可欠なものとなっています」

英国政府の計画では、各メーカーは2024年までに全販売台数の少なくとも22%をゼロ・エミッション車にする必要があり、2030年には80%、2035年には100%に上昇する予定である。

政府が計画する2024年以降の販売比率は以下の通り。

●英国政府計画:ゼロ・エミッション車の新車販売比率
2024年:22% 2025年:28% 2026年:33% 2027年:38%
2028年:52% 2029年:66% 2030年:80% 2031年:84%
2032年:88% 2033年:92% 2034年:96% 2035年:100%

アダムソンにこの政府目標を支持するかどうか尋ねると、次のように答えた。

「この目標は正しい理由で設定されたものであり、それを達成するかどうかはわたし達次第です。その点では、e:Ny1はまさに良いタイミングで登場しました。2024年に達成すべき目標があり、それを優位に進めるために受注数を確保し始める、まさにそんな時期に登場したのです」

英国のホンダファンは受け入れてくれるか

ホンダ英国部門のマネージング・ディレクター、ジャン・マルク・ストレンは、ホンダが近年、販売台数より収益性を重視していることも、EVへの移行を後押しすると語った。2007年、ホンダは英国で10万台以上の自動車を販売したが、今年は3万台程度の販売にとどまる見込みで、同時に過去最高の利益を記録している。

「政府の目標はパーセンテージに基づいています。そのため、当社が台数よりも利益を重視することは、要求されたレベルを達成するために無理にEVを販売する必要がないことを意味します」

ホンダ・シビックe:HEV
ホンダ・シビックe:HEV

「その点では、当社の規模は有利だと考えています。他のチャネルで無理に販売するのではなく、収益性の高い小売販売に重点を置くことができるのです」

アダムソンはまた、ホンダの購入者の平均年齢が高いこと(現在64歳)が、EVへの移行の際に懸念されるのではないかという疑問も否定した。

「顧客層が新しい技術を嫌っているという兆候は全くありません。新型ジャズ(日本名:フィット)が、それまで50%のお客様がオプションで付けていたMT車からAT車になったときも、同じような質問を受けました。しかし、今では当社のベストセラー車種となり、ロイヤリティも高いのです」

「その代わりに、信頼性、革新性、誠実さ、信用に対する評判が、当社に良い影響を与えてくれるでしょう。お客様は、ホンダが約束を守ってきたことを知っていますし、新しい技術をより積極的に受け入れてくれると思います」

ホンダのデータによると、英国のハイブリッドに特化した代替燃料車市場における同社の販売シェアは、2番目に速いペースで拡大しており、トヨタだけがこれを上回っている。今年発売される新型シビックを皮切りに、ホンダの主力車種はすべて電動化される予定だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジム・ホルダー

    Jim Holder

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ愛知在住。幼少期から乗り物好き。住宅営業や記事編集者といった職を経て、フリーランスとして自動車メディアで記事を書くことに。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。

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