新興中国ブランドが欧州へ ヴォヤ・フリー・レンジエクステンダーへ試乗 シリーズ式HVで684ps

公開 : 2022.05.09 08:25

最高出力684ps、最大トルク106.0kg-m

先にも触れたが、フリーはバッテリーのみで走る純EVと、レンジエクステンダー付きのEV(シリーズ式ハイブリッド)とが選択できる。今回試乗したのは後者で、1.5L 4気筒ターボエンジンが、33kWの駆動用バッテリーの電気を補うという仕組み。

1度の満タンで走れる距離は、甘めの数字が出るNEDC値で最長859km。33kWの駆動用バッテリーだけでは、最長140kmが走れるという。ちなみに純EV版の航続距離は、最長で約480kmとのこと。

ヴォヤ・フリー・レンジエクステンダー・エクスクルーシブ・デラックス(中国仕様)
ヴォヤ・フリー・レンジエクステンダー・エクスクルーシブ・デラックス(中国仕様)

中国の一般道を走らせてみると、車内はとても静か。エンジン音もロードノイズも、良く遮断できていた。特にエンジンの静かさは、2重のフロントガラスが大きく貢献しているはず。

試乗車の場合、駆動用モーターが2基搭載され、合計での最高出力は684ps。最大トルクは106.0kg-mと頼もしく、0-100km/h加速を4.5秒でこなす。純EVのように、発進加速には唸らされる。

運転支援システムとしては、アダプティブ・クルーズコントロールとレーンキープ・アシストを実装。高速道路の運転も、リラックスしてこなせる。

エアサスペンションは、殆どの路面の不整を均してくれる。よほど傷んだ区間を通過しない限り、とても快適なクルーザーだ。

ステアリングホイールは驚くほど軽い。感触はゼロではなく、見た目以上に軽快に操れる。スポーツ・モード時はエアサスが車高を落とし、ステアリングホイールの感触も程よくタイトになる。

SUVらしく、オフロード前提のアドベンチャー・モードもある。車高が最も高くなり、走破性を担保する。

優れたシリーズ式HVで高い実力

ヴォヤ・フリーは衝突安全性も重視されており、中国版NCAPで最高得点を取得した。世界的に比較すると、BMW iX3に次ぐ点数となる。

レンジエクステンダー付きフリーの現地価格は、換算すると約4万ポンド(668万円)。価格を考えれば、訴求力のある内容といえる。

ヴォヤ・フリー・レンジエクステンダー・エクスクルーシブ・デラックス(中国仕様)
ヴォヤ・フリー・レンジエクステンダー・エクスクルーシブ・デラックス(中国仕様)

欧州のディーラーでの価格は更に高くなると考えられるが、充実装備とラグジュアリーなインテリア、優れたシリーズ式ハイブリッド・システムなど、このクラスのSUVでの実力は高いといえる。英国上陸の具体的な日程は、明らかになっていない。

ヴォヤ・フリー・レンジエクステンダー・エクスクルーシブ・デラックス(中国仕様)のスペック

中国価格:約4万ポンド(668万円)
全長:4905mm
全幅:1950mm
全高:1690mm
最高速度:199km/h
0-100km/h加速:4.5秒
航続距離:859km(NEDC値/レンジエクステンダー)
電費:−
CO2排出量:−
車両重量:−
パワートレイン:ツインモニター+直列4気筒1498ccターボチャージャー+80kWジェネレーター
駆動用バッテリー:33.0kWh
最高出力:684ps(ツインモニター)
最大トルク:106.0kg-m(ツインモニター)
ギアボックス:シングルスピード・オートマティック

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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