ルノー・アルカナR.S.ラインEテック・ハイブリッド試乗 カングーの軽さ、ルーテシアのしっかり感

公開 : 2022.04.29 05:45

走り味 完全な「ルノーテイスト」

49psのモーターと94psのガソリンエンジンによるパワートレインは、力が有り余っているという感じではない。

けれど箱根の長い上り坂を上っていても、開けた直線で飛ばしても、いつでもパワーが不足する感じもなかった。

ルノー・アルカナR.S.ラインEテック・ハイブリッド
ルノー・アルカナR.S.ラインEテック・ハイブリッド    前田惠介

そこはハイブリッドの連携、そしてモーターとエンジンの双方に備わるギアボックスの制御で上手くまとめられているようだ。

ワインディングではやはり軽さが前面に押し出されていた。

フロア付近が重いというより、ボディの上に行けば行くほど軽い感じが他のハイブリッド車とは異なる。

アシの設定はわりと硬めな方だが、硬いボディとの相性がいいので乗り心地も悪くない。

トルクステアに代表されるFFっぽさが感じられないのもいいと思った。

一方、スロットルを少し深く踏み込むとすぐに1.6Lエンジンが騒々しくなる点は少し気になった。

発進はハイブリッドなのでとても静かで、全スピード域でロードノイズも抑えられているだけに、急にエンジンが唸りはじめることが目立ってしまうのだ。

ドイツ的なプレミアム感が好きな人だと、動的にも静的にも物足りないと感じるかもしれない。

だがカングー的な軽さと、ルーテシア的なしっかり感が同居しているので、ルノー好きなら必ず気に入るキャラクターの持ち主であることはたしかだ。

目新しく少し複雑なハイブリッドの部分を考えることなく手を出しても、きっと満足できる1台だと感じた。

ルノー・アルカナR.S.ラインEテック・ハイブリッドのスペック

価格:429万円
全長:4570mm
全幅:1820mm
全高:1580mm
ホイールベース:2720mm
車両重量:1470kg
パワートレイン:直列4気筒1597cc
最高出力:94ps/5600rpm
最大トルク:15.1kg-m/3600rpm
最高出力(メインモーター):49ps/1677-6000rpm
最大トルク(メインモーター):20.9kg-m/200-1677rpm
最高出力(サブモーター):20ps/2865-10000rpm
最大トルク(サブモーター):5.1kg-m/200-2865rpm
ギアボックス:電子制御ドッグクラッチマルチモードオートマティック

ルノー・アルカナR.S.ラインEテック・ハイブリッド
ルノー・アルカナR.S.ラインEテック・ハイブリッド    前田惠介

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。フィアット・パンダ4x4/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 撮影

    前田惠介

    Keisuke Maeda

    1962年生まれ。はじめて買ったクルマは、ジムニーSJ30F。自動車メーカーのカタログを撮影する会社に5年間勤務。スタジオ撮影のノウハウを会得後独立。自動車関連の撮影のほか、現在、湘南で地元密着型の写真館を営業中。今の愛車はスズキ・ジムニー(JB23)

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