日本車400台「不正輸入」、米で発覚 日本に返還される? 国土安全保障省が扱う大事件に
公開 : 2022.05.02 11:15
不正輸入されたクルマは?
約400台のうち、車台番号などが公開されている約350台は詳細が判明している(詳細は「画像」の車台番号、車種リストのとおり。なお、車台番号の一部をマスキング)
では具体的にどんなクルマがリストにあるのか?
詳しくは添付のリストを見てもらうとして、ざっと車種別に数えたところ
日産スカイライン(R32):10台
日産スカイライン(R33):24台
日産スカイライン(R34):54台
日産シルビア(S15):30台
ホンダ・シビック:31台
ホンダ・インテグラ:23台
断トツに多いのはやはりスカイラインである。
1999年~2002年に製造されたR34は明らかにまだ25年ルール適用とはならないが、54台もある(この中には、「Show or Display」など特別な認可を得て輸入された個体が入っている可能性もある)
さらに新しいところでは2010年以降に製造されたホンダ・シビック(FD2/FK2)やトヨタ・クラウン・アスリートGなどの車両もリストにあった。
筆者はフロリダ州道路安全自動車局(Florida Department of Highway Safety and Motor Vehicles)の担当部署に現在の状況と今後について聞いた。
「同局の調査は、フロリダ州での不正なタイトル取得に焦点を当てたものです。同局は、車両の輸出を規制していません。米国国土安全保障省の税関国境警備局は、連邦法および当局の方針に基づいて記録を管理しており、あなたの質問に答えるのに最も適していると思われます」との回答だった。
これはつまり「車両の輸出を規制していない」ので日本に送り返してもらうことも可能ということなのだ。
不正輸入の背景に「賄賂」?
この事件に関してはJDMファンからメディアのジャーナリスト、アメリカ人自動車系ユーチューバーたちがこぞって動画を公開している。
中でも最も信頼度が高く、閲覧者も多いのが、ワイルド・スピードの仕掛人であり、車両のテクニカルアドバイザーを担当したクレイグ・リーバーマン氏とスカイラインの神と言われるショーン・モリス氏(トップランクUSA)による動画である。
動画制作者のリーバーマン氏に許可を得て動画の内容を紹介してみよう。
「合法的に輸入できる形にするために輸入業者たちは偽造文書を作成した。DMV(日本の運輸支局のような)の担当者、検査員(?)のような立場の人にワイロを渡して偽造でも許可されるように仕向けている。
「例えば普通のショップであれば50ドルでできる作業をJ-Specガレージでは200ドル払う。つまり1台あたり150ドル分が賄賂分となる」
「DMVだけではなく、フロリダの港湾関係者に対しても賄賂を贈っている可能性がある」
「フロリダでいったん登録されたこれら400台に関してはフロリダから出して他の州で登録したり名義変更したりすることはできない」
「どこの場所に名義変更しても、どこに引っ越しても、またこれまでアメリカ国内で何人かオーナーが変わっていたとしてもアメリカ国内での登録は未来永劫できないと思われる」
「これらの日本車を1度、アメリカ国外に出したとして、25年経過してからアメリカに輸入しようとしても、ダメ。同じ車台番号のクルマはDHS (Department of Homeland Security=アメリカ合衆国国土安全保障省)によって二度と登録できない」
結論としては、アメリカ国内ではどんな経緯を経ても二度と同じ車台番号では登録が不可ということである。
かなり厳しい措置だと思われるが、国の規則に背いた罪は異常なほど厳しく対処される。
それゆえ、この346台についても、見せしめのために何台かは「破壊」されるのではないかと思われたが(現在のその可能性がゼロになったわけではない)、当初よりはその可能性が低くなったといわれている。
オーナーが所有している財産でもあるので、善意の第三者として所有しているケースもほとんどなので処分はケースバイケースになる可能性が高い。