「レクサスLX」新型 本格オフローダーで、いかに差別化できるか? 内装・公道編

公開 : 2022.05.05 05:45

新型レクサスLXの試乗記です。後編は、4人乗りのエグゼクティブ、5人乗りの標準車で一般道・高速道路を検証。豪華なインテリアも覗いてみましょう。

一般道・高速道 見所/気になる所

(前編でオフロード性能を検証した取材班。後編は、新東名に乗り西へ進んだ)

新型レクサスLXは66.3kg-mの最大トルクを発生するだけあって、2.5tを超える車重を意識させない。

レクサスLX600エグゼクティブ(マンガンラスター/4人乗り/22インチ)
レクサスLX600エグゼクティブ(マンガンラスター/4人乗り/22インチ)    宮澤佳久

極低速域でのコントロール性はオフロードセクションで確認済みだが、悠々たる力強さは高速域に至っても衰えることはない。

操縦特性は安定性最優先の設定。俊敏性とか精度感は低めであり悪く言えば鈍重とも評せるが、安定性とコントロール性が高いレベルで両立されているのがミソ。

ロールは深めだが、サスストローク速度は抑えられ、揺れ返しもごく僅か。追舵への回頭反応も穏やかであり、加減速でのラインの変化も同様。

操縦感覚では前輪ばかりに仕事をさせているような感じだが、予想外の反応がなく扱いやすく安心感がすこぶる高い。サイズ・重量をあまり意識せずに操れるのが見所だ。

乗り心地も穏やか。

前記したとおりサスストローク速度の抑制が利いているため「ふんわり」というタイプではないが、適度に路面感覚を残しながら刺激を抑えている。

鷹揚な味わいと据わりの程よいバランスである。ただ、22インチ・ホイール仕様の後席では、バネ下重量の重さを意識させるリアサス周りの揺動感が気になった。同系シャシーではかなり抑えられているが、乗用車系の乗り味に慣れていると違和感を覚えるかもしれない。

内装について 2列目シートは?

車体全長はRXのロング仕様よりも10cm長く、SUVでは最大級。当然、キャビンスペースも最大級だが、あくまでも本格クロカン車対比での話。

大きなエンジンと車輪に、ラダーフレームとタフな駆動系。乗用車全般ではスペース効率は低い。

レクサスLX600エグゼクティブの後席(内装色:ブラック/オーナメント:アートウッド)
レクサスLX600エグゼクティブの後席(内装色:ブラック/オーナメント:アートウッド)    宮澤佳久

そこに3列シートまで入れれば、セカンドシートの居住性はゆったりというほどでもなくなる。

標準車とオフロードには2列(5名定員)と3列(7名定員)シートを設定し、最上級のエグゼクティブは4名定員の2列シートのみとなる。

エグゼクティブの後席には電動リクライニングや電動マッサージ機能が備わり、助手席には前方スライド拡大とバックレスト背面のオットマンが備わる。

ただし、2列/3列シートとも後席(セカンド)にスライド機能はなく、リムジンのように4名で悠々と寛げるほどではない。

価格差でみるLXの立ち位置

広いとも狭いとも言いづらい微妙な按配なのだが、内装の設えは派手さを抑えて落ち着いた雰囲気。

アップライトな着座姿勢でも収まりのいいシートは車窓からの風景を楽しむにはいい。アウトドア趣味にも違和感のないインテリアである。

レクサスLX600標準車の前席(内装色:ホワイト&ダークセピア/オーナメント:ウォールナット)
レクサスLX600標準車の前席(内装色:ホワイト&ダークセピア/オーナメント:ウォールナット)    レクサス

新型LXは、最も安価な標準車が1250万円、オフロードは1290万円、最上級のエグゼクティブは1800万円の設定。

ちなみにRX450hLは796万円、LS500hエグゼクティブは1690万円から1792万円である。

一方、基本シャシーやボディシェルを共用するランドクルーザーのガソリン車は、GXの510万円からGRスポーツの770万円。

VXやGRスポーツにOPテンコ盛りでもレクサスLXの標準車には届かない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    川島茂夫

    Shigeo Kawashima

    1956年生まれ。子どものころから航空機を筆頭とした乗り物や機械好き。プラモデルからエンジン模型飛行機へと進み、その延長でスロットレーシングを軸にした交友関係から自動車専門誌業界へ。寄稿していた編集部の勧めもあって大学卒業と同時に自動車評論家として自立。「機械の中に刻み込まれたメッセージの解読こそ自動車評論の醍醐味だ!」と思っている。
  • 撮影

    宮澤佳久

    Yoshihisa Miyazawa

    1963年生まれ。日大芸術学部写真学科を卒業後、スタジオ、個人写真家の助手を経て、1989年に独立。人物撮影を中心に、雑誌/広告/カタログ/ウェブ媒体などで撮影。大のクルマ好きでありながら、仕事柄、荷物が多く積める実用車ばかり乗り継いできた。遅咲きデビューの自動車専門誌。多様な被写体を撮ってきた経験を活かしつつ、老体に鞭を打ち日々奮闘中。
  • 編集

    徳永徹

    Tetsu Tokunaga

    1975年生まれ。2013年にCLASSIC & SPORTS CAR日本版創刊号の製作に関わったあと、AUTOCAR JAPAN編集部に加わる。クルマ遊びは、新車購入よりも、格安中古車を手に入れ、パテ盛り、コンパウンド磨きで仕上げるのがモットー。ただし不器用。

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