プジョー108アクティブ1.0

公開 : 2014.06.30 23:40  更新 : 2017.05.29 19:00

■どんなクルマ?

9年のあいだ、チェコ共和国にある同じ工場内で生産されたトヨタ・アイゴやシトロエンC1と兄弟車という立ち位置にあるのが、このプジョー108である。

車両価格や、据えられるエンブレム、あなた自身のブランドもつ印象以外には、108は他の2台とほとんど違いはない。

強いて明確な違いを挙げるとすれば、あるいはプジョーの提示するリース企画がその代表といえるかもしれない。

■どんな感じ?

他の兄弟と同じように、プジョー108もまたかなり小さなクルマである。全長は僅か3.5mで、1.0ℓエンジンを搭載するテスト車両の乾燥重量は、同クラスのほとんどのライバル車よりも軽い855kgに抑えられている。したがって身のこなしは十分に素早く、ステアリングはひらりと軽い。

ただし、フォルクスワーゲンUp!が依然としてこのクラスのトップ・ポジションを堅持していることと、フィアット500の方が可愛らしい(値段にかんしては男前)という事実は依然として変わりない。

ボンネットの下に控えめに収まる1.0ℓのトヨタ製エンジンは、シティ・カーとしての役割を十分に果たす。アクセルを強めに踏んでも、市街地ならばこのエンジンはスムーズに回転し、ディーゼル・エンジンの燃費を追い越さんばかりの高燃費を誇る。

惜しいのは、ディーゼル・エンジンを搭載する中間グレードが用意されていないことと、高速道路における50-100km/h間の追い越し加速におけるパワー不足がそのまま田舎道でも反映されているところである。プジョー製の1.2ℓ3気筒エンジンよりも20%改善されたはずだけれど、それでもパワーが不足しているを認めざるを得ない。

市街地では、フォルクスワーゲンUp!では見られないパワー不足があるのも事実だ。

とはいうものの2014年モデルは、先代に比べればかなりの進化を遂げていることを、実際に運転してみて感じることができる。

新しいインテリアとボディは、ここ近年目にしたことが一度もないほど新しいといえば嘘になるが、それでも変更が加えられているということはよく分かる。

サスペンションの仕立ても改められており、とくにリアはコントロール性能と落ち着きを求めての大々的な変更が明確に良い結果となって現れている。安っぽさと、外部の音の侵入を無視することはできないが、それでも運転すること自体になんの苦労も強いることはないし、英国によくあるバンピーな路面でもうまく凹凸をやり過ごしてくれた。

中間回転域での力強さは先ほどにも申し上げたとおり大満足とはいかないのだが、1.0ℓエンジンから聞こえる刺激的なサウンドは乗り手をその気にさせてくれる。1.2ℓ版は高価な割にさほどの改善が施されているわけではないが、やはり市街地での非力さに悩まされることはない。

シートのホールドは希薄ではあるが、ハンドリングはかっちりとして安心感がある。また複合サイクル燃費は23.3km/ℓと非常に優秀で、(少なくとも英国ではかなり重要な)CO2排出量も99g/kmにまで抑えられている。

ただし、低回転でもエンジンが息を切らすのは早いところを見るたびにこのクラスをけん引するライバルとは多少の距離があることを認めざるをえない。

■「買い」か?

こればかりはあなたの国で販売された時の価格によるだろう。もし価格が安ければ、極めて買いだということになるし、そうでなければあまりおすすめ出来ない。なぜなら他のライバルのようにユニークな装備に溢れているわけではないし、購入の決め手になるほどのお手軽価格だという程でもないからだ。

モデル・チェンジを経たばかりだというのに、われわれはこのクルマに大きな改善を求めざるを得ない。それも早急に行わなければ、個性あふれるライバルと戦いを交えることは難しいだろう。

(スティーブ・クロプリー)

プジョー108アクティブ1.0

価格 £9,895(170万円)
最高速度 160km/h
0-100km/h加速 14.3秒
燃費 23.3km/ℓ
CO2排出量 99g/km
乾燥重量 855kg
エンジン 直列4気筒998cc
最高出力 69ps/6000rpm
最大トルク 9.7kg-m/4800rpm
ギアボックス 5速マニュアル

おすすめ記事

 
最新試乗記

人気記事