アイルランドのホープ、クレイグ・ブリーン WRCタイトル獲得に意欲 Mスポーツの野心的ドライバー

公開 : 2022.05.08 06:05  更新 : 2022.11.01 08:56

ラリーへの深い愛情と情熱

「実は、彼が1992年のサーキット・オブ・アイルランドで優勝したシエラ・コスワースを所有しているんだ。そして、僕の最初のワールドラリーカーはフォードフィエスタだった。Mk2エスコートでヒストリックイベントに参戦するのも楽しいけど、今年は新しいハイブリッドカーに集中するために、ちょっと控えめにしているよ。いろいろ考えないといけないけど、慣れてくると思ったほど難しくはない。僕には合っているんだ」

ヒストリックラリーへの情熱は強く、クレイグは最近、パトリック・スナイジャーズが乗っていたフォード・エスコートWRCを購入し、バストスの象徴的なカラーリングを施して、昨年イタリアで行われたラリー・レジェンドに出走した。バストスのオーバーオールのレプリカもプレゼントされ、当時の雰囲気を再現している。

クレイグ・ブリーン
クレイグ・ブリーン

クレイグは、ラリーの歴史をまるで「歩くウィキペディア」のように語ることができる。その知識量は、WRCサービスパークのもう1人の歴史オタク、ヤリ=マティ・ラトバラにも匹敵するほどだ。ラリー以外に何かやっていることはあるかと尋ねると、クレイグはにっこり笑って首を横に振る。紅茶を飲むこと以外で、何かをする時間はないのだ。「ラリーしか知らないんだ。他のことは何もできないよ」

今のところ、彼はアイルランド初のラリー世界チャンピオンになるべく集中力を高めている。そのためには、兎にも角にも初勝利を達成する必要がある。「でも、それがいつになるのか……。それは100万ドルの質問だね?勝つかどうかは時間の問題だ。無理して追いかける必要はない」

しかし、ブリーンがインスピレーションを受ける元フォード・ドライバーがもう1人いる。マーカス・グロンホルムだ。2000年、当時32歳だったマーカスは、新型のプジョー206 WRCで初のWRCフル参戦を果たした。シーズンが終わる頃、初勝利だけでなく、初タイトルも獲得していた。ブリーンの物語は、まだ始まったばかりなのだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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