新型フェラーリ・プロサングエ V12エンジン搭載決定 初のSUVモデルに伝統受け継ぐ

公開 : 2022.05.06 21:05  更新 : 2023.03.07 10:24

これまでと全く異なる課題とは

ライターズは次のように語っている。

「課題は、フェラーリの新しい分野を開拓することです。我々は常にシャープなポジショニングに立っています。特定の要素に焦点を絞って開発し、ある種のトレードオフを行うのです。SUVでは、全く異なるトレードオフが必要になります。全く新しいエンジニアリングの課題を抱えることになるでしょう」

リークされたフェラーリ・プロサングエの画像
リークされたフェラーリ・プロサングエの画像

「フェラーリにとって新しいセグメントを開拓することが課題です。当社は常にシャープなポジショニングをとっています。そのおかげで、集中的にクルマを開発することができ、トレードオフの判断もしやすくなります。全く新しいエンジニアリングの挑戦ができるでしょう」

「SF90は、非常に多くの革新技術を投入した新しいクルマです。ここから多くのモデルへと発展していくでしょう。ですが、SUV開発の課題にはまったく異なるものも含まれています。イノベーションも必要とされ、組織としても多くの学びがありました」

SUVを含むすべてのGTモデルは、「目は道路に、手はハンドルに」というアプローチに基づき、まったく新しいインテリアレイアウトを採用する予定だ。新しいデザインのステアリングホイール、新しいインフォテインメント、ヘッドアップディスプレイ、新しい計器類、新しい操作方法、リアシート・エンターテインメント、乗降性の向上などが盛り込まれている。

ライターズは、同社初のSUV開発で直面している課題についても話してくれた。

「広いだけでなく、人間工学に基づいた快適で安楽な空間を生み出すには何が必要でしょう?スポーティでありながら、快適性にも重点を置いたデザインとは?ヒューマン・マシン・インターフェイス(HMI)のより民主化された理想とは?本当の意味での快適性とは?フェラーリの純粋なDNAを備えた快適性とは何でしょうか?」

「スペースがあれば、人間工学に基づいた快適な乗り心地をどのように確保できるのか。スポーティなレイアウトと快適性を重視したデザインをどう組み合わせるか。HMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)をどうするか。当社のHMIはドライバー志向ですが、どうすればもっと民主的なものになるのでしょうか。快適性とは何か。快適性を追求したフェラーリのピュアなDNAを持つクルマとは?」

「それは『挑戦』であり、『機会』であり、『楽しみ』でもあります。コンセプトの中には近いものもありますが、175のようなクルマで我々がやりたいことの1つは、製品レンジを構成し、何か違うものを手に入れることです」

フェラーリらしいSUVのデザイン

ライターズは、2つの新しいアーキテクチャーについて、将来のフェラーリモデル間ではるかに大きな柔軟性を提供すると述べた。

「V6やV12が必ず出てくるとは言えませんが、想定はしてきました。わたしの仕事は、会社に新しいモデルの可能性を示すこと。そして市場ニーズに耳を傾けることです」

フェラーリ・プロサングエと思われるテスト車両
フェラーリ・プロサングエと思われるテスト車両    AUTOCAR

「求められる機能性はお客様によって異なります。どれだけの広さが必要なのか。6気筒や8気筒は必要なのか。ホイールベースは長い方が良いのか。そこでV6、V8、V12エンジンを用意し、フロントミドシップやミドシップ、ハイブリッドの有無や駆動方式、シートレイアウトなど幅広い選択肢を用意します。ホイールベースの長さも自由です。最小限の影響で、ドライブトレインやレイアウトを変更できるのです」

フェラーリのデザイン部門の主任であるフラビオ・マンツォーニによれば、物議を醸すであろう同社初のSUVのために、デザイナーは当初からエンジニアリング部門とともに仕事を進め、より最適なプロポーションを目指してきたという。

「最初のステップでクルマのデザインを定義し始めるのです。その定義づけの段階で、エンジニアと協力しながら方向性を決めていきます。プロポーションとボディサイズを決定することで、優れたデザインのベースが生まれるのです。それはSUVの場合でも同様です。多くのSUVは、他のクルマの派生モデルです。デザイナーは技術要件での制約をクリアしなければなりません」

「フェラーリの場合、妥協は許されないのです。エンジニアと一緒にデザインを進めなければ、パッケージの決定段階で問題が発生します。新しいプロジェクトを始める時は、(他部署との)協力を推し進めています」

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ愛知在住。幼少期から乗り物好き。住宅営業や記事編集者といった職を経て、フリーランスとして自動車メディアで記事を書くことに。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。

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