フォード・シェルビーGT500コンバーチブル
公開 : 2012.06.16 17:18 更新 : 2017.05.29 18:55
■どんなクルマ?
誰もが1960年代のアメリカン・マッスルの黄金期が戻ってくるとは思ってもいなかったに違いない。しかし、デトロイトからは、その時代を彷彿とさせる新世代のハイ・パフォーマンス・モデルが登場してきた。シボレー・カマロやフォード・マスタングのハイ・スペック・モデル達だ。そして、フォードは、2013年型のシェルビーGT500でそのマッスルカー市場に参戦する。
とはいってもこのシェルビーは、故キャロル・シェルビーのラスベガスのチューニング工場からリリースされる950hpのモンスター・マシンではない。フォードのアッセンブリー・ラインから正式にリリースされる通常のプロダクション・モデルなのだ。従って、そのフロント・フードの下に収められるスーパーチャージャー付きのV8エンジンの出力は控えめな(!)662bhpだ。とはいうものの、このパワーと比較すると580bhpのシボレー・カマロZL1は、貧血気味に感じるのも事実だ。
■どんな感じ?
マニュアル・トランスミッションのためのラウンチ・コントロール・システムを含むパフォーマンス・パッケージを装着したモデルであれば、0-100km/h加速は通常の4.0秒から3.6秒にまで短縮される。ドライバーは理想的な回転をクラッチを繋ぐ前にキープした上で、ステアリングに付けられたラウンチ・コントロール・システムのボタンを押せば、そのタイムを稼ぎだす加速が味わえるというものだ。
最高速はクーペなら325km/hだが、コンバーチブルはリミッターによて250km/hに抑えられる。
コンバーチブル・モデルで最大の不満は、そのソフトトップの操作だ。自分でダブル・ロックダウン・トグルを操作しなくてはならないというのは、40,579ポンド(502万円)のクルマにあるべき行為である。
そのストレートでの加速は、マスタングのようなポニーカーに求められる最高のもの、といってよいだろう。BMW Mであっても置き去りにできる加速だ。
可変のビルシュタイン・ショックは、ダッシュボードの上のボタンによって「ノーマル」と「スポーツ」に切り替えることができる。スポーツ・モードでは応答時間の速度を上げ、ロールとピッチを減らすこととなる。また、ブレンボが奢られたブレーキは、スタンダートなマスタングよりも確実に強力な制動力を導き出す。
このスポーツ・モードは明らかな欠点がある。それはその乗り心地だ。ミシガンの道では、その激しい振動がドライバーを襲ってくるのだ。一方、ノーマル・モードはかなり行儀が良く、アグレッシブなドライビングでなければ、こちらの方が良い選択と言えるだろう。
マスタングのリア・ホイール・ドライブのプラットフォームは、さすがに時代を感じさせるものだが、シボレーがカマロに提供するIRSよりかは、総合的に良い感じがした。
ちなみに、マスタングはその50周年にあたる2014年には、まったく新しいモデルが登場する予定である。
■「買い」か?
予想外にGT500は、その驚くべきパワーの割には、ドライビング・マナーは良好だった。その加速を味わいたいのであれば、十分に検討する価値のあるクルマといえるだろう。
(ポールA.アイゼンシュタイン)
フォード・シェルビーGT500コンバーチブル
価格 | 40,579ポンド(502万円) |
最高速度 | 250km/h |
0-100km/h加速 | 3.6秒 |
燃費 | 6.3km/l |
Co2排出量 | NA |
乾燥重量 | 1800kg |
エンジン | 5.8リッター・スーパーチャージドV8 |
最高出力 | 662bhp/6250rpm |
最大トルク | 87.2kg-m/4000rpm |
ギアボックス | 6速マニュアル |